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(書評)フクロウ

著者:渡邊則幸

フクロウ (幻狼ファンタジアノベルス)フクロウ (幻狼ファンタジアノベルス)
(2010/12)
渡邊 則幸

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華やかな装飾とその影にある深い闇を抱えた街・籠森。行方不明になった妹・ツグミを探すため、情報屋であるヌエの元を訪れた大学生のショウヤ。ヌエに教えられたのは、人捜しを生業とする少女・フクロウ。彼女とともに妹の調査を開始するが……
うーん……アイデアは面白いと思うのだけど……
底知れぬ不気味さを誇る街。そこで、調査を開始するショウヤとフクロウ。フクロウが訪れるのは、闇の世界に生きる者たち。ヌエ、キジバト、ヒナ……それぞれ、鳥の名を冠したもの。なかなか、ツグミについての情報は得られないものの、その一方で、街で少女が次々と行方不明になっている噂。そして、「モズ」なる存在の名前を耳にする。
なぜ、暗躍している者たちが、鳥の名なのか?
そして、それを閉じ込めている「街」とは何なのか?
雰囲気だとかは好みだし、また、街、そのものが「生き物」であり、その部品に過ぎない、なんていうのも悪くない。また、臆病で、何事からも逃げてばかり、というショウヤの成長物語という面もある。そういう点で評価されたのだろう、というのはわかる。
ただ、物語の展開、というか、構成がイマイチに感じる。
中盤くらいまで、しばしば、対立をしつつも、ショウヤとフクロウがツグミの情報を探しつつも手がかりが全くない、という話が続く。そして、中盤で、「この街は……」という話が出ると途端にツグミの方から登場してしまう。調査の場面が、ショウヤとフクロウのやりとりのための話としかなっていない、というのがどうも引っ掛かる。折角、分量を割いているのだから、少しは、ショウヤたちの側から近づくようなアプローチとかあっても良いと思う。登場人物そのものが少ないから、ひっくり返しのところも想像出来てしまうし。
そういうことを総合すると、「惜しい」出来、という評価かな。

No.2494

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