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(書評)完全なる首長竜の日

著者:乾緑郎

完全なる首長竜の日完全なる首長竜の日
(2011/01/08)
乾 緑郎

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植物状態となった患者と意思疎通が可能となった時代。少女漫画家の淳美は、自殺を図り、意識不明の状態が続いている弟の世話をしながら日々を過ごす。そんなある日、息子が、自分の漫画のファンだった、という女性から連絡が入るのだが、それと同じくして、淳美の周囲で奇妙なことが起こるようになって……
第9回『このミス』大賞大賞受賞作。
以前、『このミス』大賞を受賞した作品について、賞の名前から、どうしてもオチを想定しながら読んでしまうので、どうしても厳しくなってしまう、というようなことを書いたことがある。本作についても、同じようなことが言えると思う。
淳美の周囲で次々と起こる奇妙なこと。意識不明で入院中のはずなのに、何故か、目の前に現れる弟。これは、弟の意識の中だ、と思って目が覚めることもあるし、そうでないことも。それぞれの思い出にも齟齬が生じ、何が本当で何が夢なのかもわからなくなっていく。ミステリといっても、事件が起きて、解決して、というのではなく、ホラー小説のようなテイストを持った「広義のミステリ」に分類されるタイプの作品だと思う。
物語のキーポイントととなる、祖父が経営していたラーメン店。親戚が住んでいていた南の島……などなど、それぞれ、凄く特徴的で、ぱっと頭にイメージが広がるような描写が印象に残り、文章力もあるので、どんどん読み進めることが出来た。
ただ、それだけに、最初にも書いたけど、「これはミステリです」と最初に宣言されているが故に、オチが想像出来てしまうのが勿体ない。それがなく、どんどん夢と現実が混濁していく先に、実は、とされると、より印象的なラストになったと思うのだ。作品自身が悪いわけではなくて、賞との相性が……ということになるのだろう。
あと、オチに際して、細かいところで一つ気になった部分があるが……それはまぁ、良いか。
でも、作品としての完成度はかなりのもの。大賞受賞は納得。

No.2500

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