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(書評)空色パンデミック4

著者:本田誠

空色パンデミック4 (ファミ通文庫)空色パンデミック4 (ファミ通文庫)
(2011/03/30)
本田 誠

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最近、中西景の様子がおかしい。青井晴は、そのことに気づく。それは、「現空混在症」。穂高結衣の発作に巻き込まれるうち、自らも蝕まれていた。失意の中で、方策を探す結衣。そして、青井もまた、ある「芝居」を打つ……
シリーズ最終巻。
なんか、最後の最後で、これまでを逆手に取った大仕掛けをやってきたな、という印象。
これまでのシリーズは、景の視点から綴られ、その中で、結衣らの発作に巻き込まれていく……という形を取ってきた。ところが、本作の場合、その書き方から異なる。
景の視点。森崎の視点。青井の視点。今井さんの視点……と、これまでになかった多視点から物語が綴られ、しかも、演劇の脚本というようなスタイルで綴られる文章まで何度となく挿入される。しかも、景の視点といっても、これまでに出てきた「ピエロ」だとか、そういった人格まで現れてみたり……と、どこが、現実か空想か、すらわからない。いや、それどころか、過去のことを考えると、そもそも森崎やら青井やらの視点だって、空想の中なのでは? とすら思える。ひたすらに不安を煽られるような展開になる。
これまでのシリーズと比べて、作品そのものの分量も少ないのだが、しかし、極めて複雑な構成で、ある意味では一番、訳がわからん、というような感じさえした。
そして、真相は明かされるものの、これまでと比べて非常にアッサリ。それでも、「こうだったのか」という驚きはあるし、納得が出来る。だが、それすら……という不安が残る。その緊張感を残したまま、というのが、良い余韻になっているように思う。その不安の部分も含めて、シリーズ最終作にふさわしいのではないか、と。
ここまで、シリーズを重ねて、1作目より2作目、2作目より3作目……と複雑化し、わかりづらくなってきた、というのもあるし、一つのネタとしても、やや限界に近づいていたのかな? とは思う。ただ、これだけアクの強い題材を持ってきた、というのが一つのセンスなのだと思うし、最終巻も、それを上手く料理したと感じる。
とりあえず、本田さん、お疲れ様でした。次回作も期待しています。
……あと、火の始末には気をつけてください(ある意味で、本作の見所はあとがきかも、と思うし(苦笑))

No.2502

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