(書評)偽りのドラグーン4

著者:三上延

偽りのドラグーン〈4〉 (電撃文庫)偽りのドラグーン〈4〉 (電撃文庫)
(2010/08/10)
三上 延

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セーフロ王国への侵攻を開始したレガリオン帝国。ヴィクトルの宣告から2ヶ月、騎士学院の面々も、セーフロへと向かう。焦土作戦を行うセーフロ王国。その中、レガリオン占領地から、民間人を救出する、という作戦をとるジャンたちだが、ティアナの様子がおかしく……
前回が、どちらかというと小休止という印象だっただけに、今回は一気に動いた印象。
ただ、前巻、ジャンよりも、周囲の面々に重きが置かれたように感じたのと同様、今巻も、救出先で出会った司祭・ニールのキャラクターが全てを持って行った印象。
「嘘をついてはならない」という教えを広める司祭。クリスの正体も知っており、そのことを苦々しく思いつつ、しかし、子どもたちを守るため、意外な姿も数多く見せる。本当、「嘘をつくな」とか言いながら、肝心なところではジャンたちをも驚かせるような嘘をついて場を切り抜ける。さらには、意表を突く形で追っ手を振り切る。そして、最後は見方であるはずのジャンたちをも欺いて、子供を守るために一人で戦う。敵陣からの撤退、という、ある意味では最も習うことが出来ない状況の中、もの凄い存在感を感じる。
そして、別の意味で輝いているのがアダムス。前巻では、意地を見せた感があるけど、その意地がどんどん空回りしていく。ジャン達の言葉に対し、徹底的に疑心暗鬼となり、何とか彼らを、と思うのだけどなぜか上手く邪魔が入ってそれすら出来ない。ある意味では道化回しなのだけど、彼がそうなるまでの過程が描かれているだけに、それを笑うっていうのも出来ない。
しかも、それだけ曇りまくっている目でも、ジャンのこと、クリスのこと、と肝心なところで実は接近している、という勘の良さがあるだけに余計に。
逆に言えば、今巻、ジャン達の印象が弱かった、という風には思う。
でも、そこはしっかりと、ヴィクトルとジャンの邂逅。それによって、ジャンの復讐の意志が弱まってしまう(その対比に、司祭の存在を用いるのも上手い)という見せ場を作り、ラストシーンでスポットを、という組み立てでフォローもされている。
ジャンの存在を巡る物語。そして、ジャンの復讐の意志がどうなるのか? 一気に物語が佳境に入ったと感じる。

No.2510

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