(書評)天地明察

著者:冲方丁

天地明察天地明察
(2009/12/01)
冲方 丁

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四代将軍・家綱時代。碁打ち衆・安井家に生まれた春海は、その碁よりも夢中になっていることがあった。それは、算術。そして、そんな評判を聞いた老中・坂井忠清により、ある計画へと参加することとなる……
第7回本屋大賞受賞作。
これまで、私は、歴史小説は多少、読んでいるものの、どちらかというと戦国時代とか、そういう戦乱の世を生きた人物の物語が主。物語として、戦があって、大きな勢力、小さな勢力という勢力図があって……というのは描きやすいだろう、とか、そんなのも思う。
そんな中、本書である。
主人公の渋川春海は、江戸時代の碁打ちであり、日本初の暦を作った人物。私自身は知らなかった(ぉぃ) 偉大な事を成し遂げた人物なのは確か。ただし、とは言っても、算術による計算だとか、そういうものを文字で表現する、というのは難しいだろう。そんなことを思って読み始めたのだが……
なるほど、こういう切り口があったか、というのをまず思った。
本書がどういう物語か、という風に考えると、春海の出会いの物語、ということになるのだろう。
冒頭に書いたように、碁打ちの家に生まれながら、囲碁よりも算術に夢中になる日々。そんな彼を見出したのは若くして老中となった実力者・酒井忠清。そして、その推挙により、日本各地の緯度を測るという旅に出る。その旅の中で、自分の親のような年齢になっても、好奇心の塊である者たちと出会い、そして、江戸に戻った後も、幕府の実力者・保科正之、徳川光圀らとの縁が続いて行く。そして、その中で、暦を作る、という流れへ。
当時の幕府の要職にいる人々との出会い、交流、というのに大きく分量を割かれるのだけど、その要職にある人々が、とても魅力的。それぞれ、立ち居振る舞いは全く異なるのだけど、それぞれが一つの傑物として感じる。そんな人々から学び、挫折を乗り越えていく春海の姿は、とても活き活きとしたものになっていると思う。
これまで読んだ歴史小説と比べると、やや、「軽い」と感じるところはある。それを、読みやすい、と感じるのか、重厚感がない、と感じるのかは好みが別れそう。
でも、一見、地味そうな題材を、これだけ魅力的に描く。それだけでも、素晴らしいな、と思う。

No.2528

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COMMENT 2

苗坊  2011, 05. 12 [Thu] 21:42

こんばんは。
実在の人物を取り上げているという事を本屋大賞を獲ってから知りました。
渋川春海という人も良かったですが、周りの支える人たちも良かったですよね。
日本の暦を作り上げたこの人のことを知ることが出来てよかったと思いました^^

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たこやき  2011, 05. 14 [Sat] 22:41

苗坊さんへ

主人公・春海自身も、魅力的なのですが、本当に、そんな彼が出会う人々が皆、魅力的なのが印象的でした。きっと、春海だけでなく、そういった人々と出会い、彼らから学んだからこそ、の偉業だったのだと思います。

私も、物語としての魅力だけでなく、渋川春海については知らなかったのですが、こういう偉業を成し遂げた人がいる、といのを知ったのも一つの収穫でした。

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