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(書評)バツリスト

著者:蒼井上鷹

バツリストバツリスト
(2010/12/01)
蒼井上鷹

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自殺した息子とかかわった人間。息子を死に追いやった人間に対し、老いた嶋津は復讐を決意する。そんな嶋津に仲間たちは協力を申し出るが、仲間たちは嶋津を犯罪者にしないため、芝居を打つことにして……
どんでん返しの連続……というよりは、しっちゃかめっちゃか、という印象。
個人的な好き嫌いで言えば、中盤くらいまでは好き。
冒頭にも書いたように、10年前に自殺した息子。その息子を死に追いやった、当時の関係者のリスト。そこから標的をきめ、殺害をする(ただし、本当は、仲間の芝居により、殺害したように見せかけるだけ) この時点で、仲間たちが、どうしてここまで嶋津に協力するのか? とかが弱いとは思うものの、いかにも著者らしいトリッキーな設定と、その中で次第に困難になっていくその芝居、というのはなかなか面白い。
実際、当時の関係者の中で、既に死んでいる人、なんていうのを生きているように見せかけ、殺害の真似事をさせる、というのは簡単。でも、そういう「簡単な」標的から始めれば、だんだんと難易度が上がっていくのは当然のこと。しかも、当の本人である嶋津は「本当に殺す」つもりで、どんどん本気になっていくから、被害者役は嫌気がさす。当たり前といえば当たり前の展開で、最初に気づけよ、とは思うものの、それはそれで面白い。
本当に、実際に殺すんじゃなくて、その悪事を暴いて警察に逮捕させるとか(でも、実際に手を下したわけじゃないので、嶋津は不満を覚える)、だんだんとグダグダになっていく様子って、これはひとつの見所じゃないかと思う。このあたりまでは、楽しんで読むことができた。
ところが、そこから、標的の一人が警察に逮捕されて……というあたりからは「おいおい……」という状態に。
嶋津の復讐には、実は背後があって……となって、どんでん返し、どんでん返し、またまたどんでん返し……となるのだけど、そのどんでん返しが強引過ぎる。とにかく、そこで語られるのが、後付で「こういう情報があったんです」的なもので進むので全く納得できない形になる。しかも、その情報の出し方も上手く整理されていない感がある。
手紙による語りとかも、それほど意味を成しているような感じがしないし、1本の作品としての完成度はイマイチといわざるを得ないだろう。

No.2573

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