著者:赤月カケヤ
保健室で意識を取り戻した海里克也。保険医によれば、階段で転び、気を失ったというのだが……。かつて、事故で両親と記憶を失った克也は、また記憶を失った? 「見えないものが見えていないか?」 保険医の言葉が心に残り……
第5回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。
私が読んだガガガ文庫作品というのは、この作品と『とある飛空士へ』シリーズのみ。なので、思い切りサンプルに偏りがあるのは承知なのだけど、他のレーベル作品と比べるとかなり雰囲気が異なるな、という印象を受ける。
本作の場合は、非常にストレートなサスペンス作品。
幼いころの記憶を失っており、今また、記憶を失いがちになっている克也。しばしば失われる記憶。そして、手元には誰が書いたのかもわからない不幸の手紙が舞い込む。さらに、断片的に思い出すもの。
自分は、多重人格なのではないか?
自分は、人殺しなのではないか?
そんな記憶に悩む中で、さらに手紙や、そんな克也に襲い掛かる「鬼」。どんどん自我が崩壊し、何が現実なのかもわからなくなっていく……という展開には非常にパワーがある。思い切りひきつけられていった。そして、それが、ファンタジーとか、そういう方向ではなく、あくまでも現実的なところに着地してみせるのも見事。様々なところに伏線が張られており、きちんと回収されるし、また、テーマ性もはっきりとしてる。
本当に、完成度の高い作品だと思う。
サスペンス作品としてみた場合、真相について、登場人物から消去法で予想ができる部分がある、というのを欠点と見るなら、欠点にできるかもしれない。そこに至るまでの過程も、ちょっと駆け足かな? と。
ただ、分量の制限もある新人賞でそこまで完璧なものを、というのも無理な注文だろう。欠点としても、かなり些細なところになると思うし。
文句なく「面白かった」といいたい。
No.2586

![]() | キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫) (2011/05/18) 赤月 カケヤ 商品詳細を見る |
保健室で意識を取り戻した海里克也。保険医によれば、階段で転び、気を失ったというのだが……。かつて、事故で両親と記憶を失った克也は、また記憶を失った? 「見えないものが見えていないか?」 保険医の言葉が心に残り……
第5回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。
私が読んだガガガ文庫作品というのは、この作品と『とある飛空士へ』シリーズのみ。なので、思い切りサンプルに偏りがあるのは承知なのだけど、他のレーベル作品と比べるとかなり雰囲気が異なるな、という印象を受ける。
本作の場合は、非常にストレートなサスペンス作品。
幼いころの記憶を失っており、今また、記憶を失いがちになっている克也。しばしば失われる記憶。そして、手元には誰が書いたのかもわからない不幸の手紙が舞い込む。さらに、断片的に思い出すもの。
自分は、多重人格なのではないか?
自分は、人殺しなのではないか?
そんな記憶に悩む中で、さらに手紙や、そんな克也に襲い掛かる「鬼」。どんどん自我が崩壊し、何が現実なのかもわからなくなっていく……という展開には非常にパワーがある。思い切りひきつけられていった。そして、それが、ファンタジーとか、そういう方向ではなく、あくまでも現実的なところに着地してみせるのも見事。様々なところに伏線が張られており、きちんと回収されるし、また、テーマ性もはっきりとしてる。
本当に、完成度の高い作品だと思う。
サスペンス作品としてみた場合、真相について、登場人物から消去法で予想ができる部分がある、というのを欠点と見るなら、欠点にできるかもしれない。そこに至るまでの過程も、ちょっと駆け足かな? と。
ただ、分量の制限もある新人賞でそこまで完璧なものを、というのも無理な注文だろう。欠点としても、かなり些細なところになると思うし。
文句なく「面白かった」といいたい。
No.2586

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