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(書評)蒼志馬博士の不可思議な犯罪

著者:山口芳宏

蒼志馬博士の不可思議な犯罪 (創元推理文庫)蒼志馬博士の不可思議な犯罪 (創元推理文庫)
(2011/06/11)
山口 芳宏

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弁護士・殿島の事務所の隣に住む綾子が失踪した。養っていた孤児たちを残し。姿を消す前、彼女はトラブルに巻き込まれていた。そして、同じ頃、米軍には兵器開発などに携わっていた蒼志馬博士からの脅迫状が届いていた……
戦後を舞台にした殿島、荒城、真野原シリーズ第3作になる連作短編集。
これまでのシリーズに共通しているのだけど、ある種、ばかばかしいようなトリックを用いた作品なのだけど、ノスタルジックな世界観と、少年探偵団的なノリが非常に楽しいというのを改めて実感。
今回は、連作短編で、兵器開発などに携わったという博士の、謎のトリックとの対決。相手を燃やしてしまうという「殺人光線」。感染した人を、体内から焼き殺すという「灼熱細菌」。そのまんまな「洗脳兵器」に、超人的な力を持った「強化人間」。なんか、いかにも胡散臭いマッドサイエンティストの世界という感じでしょ?(笑) しかも、今回は、事件に巻き込まれるだけでなく、殿島、荒城、真野原が、それぞれかなり追い詰められてしまうなど、これまで以上のピンチに何度となく遭遇し、冒険活劇的な部分も強く出している、と感じる。
個人的に好きなのは、体内から相手を焼き殺す、という『灼熱細菌の謎』。色々と無理がないか? というトリックではあるのだけど、その方法論そのものは、現代人ならごく当たり前に用いているもの。それを用いて、こんなある種、ばかばかしい、壮大なトリックにするのか、と、読み終って大笑いした。こういう発想、大好き。
ただ、前半2編の、ある種、ばかばかしいくらいのトリックに比べると、後半は、活劇的な要素が強く、トリックそのものが「普通」に感じられる。もっと、「強化人間」のトリックなんて、もはや、トリックとすらいえないような感じだし……。ちょっとその辺りは残念。
それでも、著者の良いところは出ており、安心のシリーズ第3作ではある。

No.2614

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