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(書評)ドッグオペラ

著者:近藤信義

ドッグオペラ (メディアワークス文庫)ドッグオペラ (メディアワークス文庫)
(2010/12/25)
近藤 信義

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「久しぶり、だね」 本家のバカ息子の後始末をするべく、バーに向かった掃除屋・樋口遼の前に現われたのは、3年前、本家を追われ、遼が逃がしてやったはずの根津康一郎だった。康一郎に倒され、本家の息子を「食われた」格好になった遼は、本家から康一郎を追うことを命じられ……
うーんと……異能力ハードボイルド……とでもいうのだろうか?
最初にその、異能力について書いておくと、主人公や、主人公を雇っている「本家」と言われる一族は、有機物、無機物、さらには記憶などの形のないものに至るまでを「食らう」ことが出来、その場から消滅させることが出来る。さらに、記憶の場合は、それを取り込んで、自分のものにすることも可能、ということになっている。例えば、何かを隠しているとき、尋問ではなく、相手の記憶を「食らう」ことで、それを確認できるし、また、何かトラブルがあったとき、関係者の記憶を「食らう」ことで「なかったこと」に出来る。そんな能力。ただし、その中で、禁忌とされているのが「同族喰い」。つまり、同じ異能力を持った人間そのものを食ってしまう、ということ。
物語は、そんな異能力者の世界を舞台に綴られる。
一族の中でも「名門」と呼ばれた根津家の御曹司・康一郎。しかし、トラブルを起こし、追われる立場に。そんな彼を先頭で追ったのが、遼。彼は、康一郎の親友であり、だからこそ、彼を禁忌である「同族喰い」で消したことにし、逃がした。
戻ってくるはずのない康一郎が、なぜ戻ってきたのか? しかも、本家の人間を本当に「食らう」目的は何なのか? 本家当主の病が悪化し、後継者争いが激化する中、様々な人間の思惑の中を縫って康一郎を追い、彼を再び逃がそうとする。結構、同じような戦闘シーンとかが多いし、また、行き当たりばったりな行動だったり……など、引っかかる部分がないわけではないのだが、それでもなかなかスリリングではある。実の父ではあるが、一門の後継者を狙い、信頼関係は全くない卯木。当主の息子の一人で、遼の直接の雇い主である鷹屋秀二など、食えない連中が多い、というのも私は好き。
ただ、読んでいて、どうしても気になったのが、物語の「一門」などについては最後まで良くわからない、ということ。
本家、分家などという形で一門が形成され、ひとつのピラミッド状の構図になっている……というあたりについては理解できる。その中で、主人公のような掃除屋、「犬」というような者もいれば、康一郎や秀二のような「名門」の人間も居る。ここまでであれば、ヤクザ組織とか、マフィア組織とかと似たような形として認識できる。
けれども、この作品の場合、「純血」「雑種」というにが大きな意味を持っている。これがよくわからない。すなわち、「雑種を食らうならともかく、純血種を食らうことは負担が大きい」とか、そういうものがある。この辺りが、康一郎が舞い戻った理由にも繋がるのだけど、黒幕がなぜそれをしたのか、とかが良くわからず、もやもやとしてしまった。
決着は想像で、というような結末は、これでよいと思うのだが、その設定についてもやもやした漢字が残り、雰囲気は好きだけど……という感じが強い。

No.2617

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