(書評)グッバイ・ヒーロー

著者:横関大

グッバイ・ヒーローグッバイ・ヒーロー
(2011/05/18)
横関 大

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頼まれたら断れない。ピザ屋で配達のバイトをしながら、メジャーデビューを目指し、バンド活動にいそしむ伊庭亮太。配達先でも、トラブルに巻き込まれ、それを解決する日々。そんなある日、立てこもり事件の現場へピザの配達をしてほしい、という注文が入る。そこで、亮太は「おっさん」と出会い……
著者のデビュー2作目となるわけだけど、デビュー作である『再会』とは、全く違うテイストの作品になっているな、と感じる。
最初に、気になった箇所から書いておくと、正直、かなりご都合主義的ということがいえる。いくら、出会ったおっさんが、「特殊な人間」とはいえ、あまりにも次々と事件に巻き込まれすぎだし、そこからの脱出も巧くいきすぎ。いくら知恵を絞って、とはいえ、立てこもり事件の現場から、人を脱出させるとか、無理があるだろう、という感がどうしても残る。
また、主人公・亮太も、お人よし、というのはわかるのだけど、実は目の前のことに目が行ってばかりで、周囲を振り回すタイプだよな、とも思う。同じバンドのメンバーとかに、かなり迷惑をかけているわけだし。そういう点も引っかかると言えば、引っかかる。
そして、何よりも、読んでいて、こうなるだろうな、と思ったとおりに展開していく、という部分。こう言っては何だけど、意外性というものがあまり感じられないのである。
……と、散々、貶すような言葉ばかりを書き連ねてきたのだが、実は、これ、欠点であるか、長所であるか、というのは好みの問題になるんじゃないかと思う。つまり、見方を変えると、長所として捉えることが出来る部分も多いというわけ。
例えば、目の前のことばかりに目が行き、周囲を振り回す。こうやって書くと嫌な奴みたいだけど、一方で、それによって亮太自身が損をしたりもする。そんな亮太、そして、自分の関係者が損をすることになっても、という人の良さが心地よい、と感じるところも多い。先が予想できる展開、というのも、安心感に繋がる。特に物語は二部構成で、第一部で、「え?」という形で終わるだけに、視点を変え、第一部から年月が経ったところで、そのときのことが悲劇になっていなかったんだ、というのが描かれたときは、ほっとすることが出来た。ラストシーンの、亮太の言葉も含めて。
道具立てなどは、現実的だけど、物語の展開などにリアリティはない。
けれども、そういうのも含めて、温かい気持ちに溢れている作品ということが出来ると思う。

No.2618

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