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(書評)月光

著者:間宮夏生

月光 (電撃文庫)月光 (電撃文庫)
(2010/09/10)
間宮 夏生

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退屈な日々をすごす、シニカルな少年・野々宮。そんな彼は、美人で成績優秀、まさしく「完璧」な少女・月森葉子のノートを拾う。そのノートの名は、『殺しのレシピ』。思わず持ち帰ってしまった野々宮だが、数日後、月森の父親が事故死し……
「シニカルな少年」
そんな主人公のキャラクターがすべてをあらわしているような。
完璧すぎて面白くないと思っていた月森。しかし、その月森の思わぬ一面。皆が、月森に同情する中、野々宮だけは、それを疑う。そして、そんな野々宮を「付き合ってほしい」と誘惑する月森。月森の狙いは何なのか? 本当に、父親を殺したのか?
他のクラスメイトと違って、月森という人物の美貌とか、そういうものに対して何か、興味を持っているわけではない。ただ、その、思わぬ一面に対して興味を引かれ、それを引き出そうとする。
対する月森もまた、野々宮とのやりとりで、どんどん不可思議に振舞う。
二人とも、互いのことを惹かれあっていく、という形ではあるのだけど、そこには相手のことを疑い、相手の心理を表面に引き出そうと言う駆け引き、緊張感が常にまとわりつく。その状況がとても魅力的。
そして、そこへ乱入する刑事・虎南。彼の登場で、一度は月森への疑いを解いた野々宮は、再び動き出す。
タイトルは「月光」とあるのだけど、このタイトルが、物凄く二人の姿を示しているように思う。自ら光るのではなく、太陽の光を反射し、それによって自分の存在を示し、互いを認識する。両者が、共に反射的に相手を知り、引かれていったように思えてならない。
ラストシーンでの言葉。
「この世で私を疑わせてあげるのは野々宮くんだけだから」
最後まで、シニカルな二人に乾杯!
……うん、巧くまとまっていないな(苦笑)

No.2619

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