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(書評)仁義なきギャル組長

著者:中村啓

仁義なきギャル組長 (宝島社文庫)仁義なきギャル組長 (宝島社文庫)
(2011/05/12)
中村 啓

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2年前、仕事は順調ながらも、ギャンブルとキャバクラにのめりこみ借金を抱えたフリーライターの土門。最後の一勝負を、と金を借りたのは、「日本一の極道を目指す」と15歳の少女・金崎龍子が立ち上げた金龍組の作った闇金融。以来、借金返済のため、龍子にあごで使われる日々。今日も、失踪したジャーナリストの裏に大金が絡んでいる、と、その調査を命じられるのだが……
とりあえず、感想としてまず思ったのは予想外、ということ。
何が予想外なのか、というと、作品そのもの。タイトルが『仁義なきギャル組長』とあるからには、いかにもそのギャル組長が沢山出てきて、主人公が振り回される、という姿を想像する。実際、主人公が振り回されているのは間違いない。ただし、ギャル組長自体は殆ど作中に登場せず、ときどき現われては主人公を脅したり、無理難題をふっかけたりするのみ。
ギャル組長が、縦横無尽に暴れまくる作品を、と思っていただけに、ちょっと肩透かし気味(ある意味、暴れてはいるのだけど)
ただ、物語そのものは面白かった。
失踪したジャーナリストが追いかけていたのは、秘密裏に運用され、企業に投入されると言う「M資金」。今までにも、色々と噂になり、大規模な詐欺事件も起こしてきた明らかに胡散臭い金。実際、それがあるかどうかはわからないものの、大手自動車メーカーに接近しているなど「金の匂い」だけは確実してくる。そして、調査をするにつれ、その資金は本当にあるらしい……となっていく……
冒頭の紹介文で書いたように、主人公自体が色々とダメな人間だし、組長はただ暴れるだけの人。主人公と共に動く、元力士のオカマ・鬼頭、プライドが高すぎるインテリ・犬養(性癖も特殊)などなど、ツッコミどころの多い面々が次々と沸いて出て、誰が何を狙っているのか、という疑心暗鬼を描きつつも笑いどころのある、B級感たっぷりのコンゲーム作品になっている。
ところどころ、物凄いご都合主義展開とかあるのだけど、これも、キャラクターの存在などからしっかりとギャグとして昇華されるので、欠点になっていないのが見事。多分、もっとシリアスに物語を作っていたら、すごくご都合主義な、微妙な作品と感じられていたと思う。
最初にも書いたように、ギャル組長自身の活躍が、と思っていた部分での肩透かしはある。けれども、最初から、B級感のあるコンゲーム作品だという風に理解して読めば、かなり完成度が高いのではなかろうか?
本作は、素直に楽しむことが出来た。

あ……これは、作品そのものの評価と一切関係の無い、ただひとつだけ気になったところ。
物語のキーパーソンとなる人物が、競艇狂いなので、その人物を探すために競艇場へ行き、1点に数万円単位で賭ける。そうしたら、万舟券で数千万円の払い戻し、というシーンがある。
これ、ありえないから(笑) 1つの競艇場で、すべての舟券の売り上げを合計して1日平均2億円くらい。とてもではないが、そのようなオッズはありえない。また、1点に数万円もかけると、倍率が大変動を起こしたりする。
……以前、地方競馬で締め切り3分前に、単勝倍率が10倍→1.3倍、の大変動を見たことがある経験者として。

No.2621

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