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(書評)赤鬼はもう泣かない

著者:明坂つづり

赤鬼はもう泣かない (ガガガ文庫)赤鬼はもう泣かない (ガガガ文庫)
(2011/06/17)
明坂 つづり

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女子の二の腕、おしかったです。そんな事件を起こしてしまった少年・西遺大豪は、急遽、山の中の学校へと転校させられることに。慎重な生活を、と思う大豪だったが、隣の席になった少女・ここめに指を吸われたり、周囲から「垢嘗」と呼ばれたり……
なんか、すごくもどかしい。
人間(?)、第三者の視点から見れば、どう考えても明らかであっても、自分自身のことについて客観的に見ることが出来ない、というのはよくあること。主人公自体も、そんな感じなのだろう、と思う。
主人公が入った学校の生徒たちは、明らかにおかしな面々。
いつの間にか投稿している屍合さん。イケメンでスポーツ万能だけど、なぜかいつも水に濡れている欺波くん。ひらがなすら書けず、しかも、いきなり指を吸ってくるここめ。挙句に、主人公に対する周囲の呼び名は「垢嘗」。読者の立場としては、この時点で、「ああ、ここは妖怪が集められた学校で、主人公は、そのまま垢嘗なのだろうな」というのが理解できる。けれども、主人公は、それを認めず、皆、普通の人間だと思い、そうふるまおうとする。
いや、その気持ち自体は理解できるし、そういう意味でリアリティもあるんだと思う。
ただ、正直なところ、それが冗長に感じてしまう。もともと、読者と主人公の視点の乖離を狙って、その上でのギャグとかならともかく、読者視点からは明らかになっている謎を主人公だけが「?」と思って展開するのはちょっと辛い。だって、生徒たち、まったく自分たちの正体とか隠す気ないんだもん。
そして、そんな、もどかしい展開が続き、妖怪の、ここめの正体が明らかになる(というか、主人公が気付いて認める)と、急展開。急展開というか、唐突、というべきか……。
ここめを前にしての綿辺さん辺りの行動とか、そういうところまでいきなり唐突に動き出されて、ちょっとついていけなかった。
ガガガ文庫の新人賞作品は、何冊かまとめて読んだだけに、シリアスな方向に、となるのは予想通りなのだけど全体的に乗り切れなかった。

No.2622

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