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(書評)私の男

著者:桜庭一樹

私の男私の男
(2007/10/30)
桜庭 一樹

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腐野花、24歳。9歳のとき、震災により両親、兄弟を失い、当時25歳だった淳悟の養子となる。間もなく結婚する彼女にとって、淳悟とは、養父であり、そして、彼女の「男」であった…。
この作品、読んでいる最中からずっと感じるのは「凄い作品」と言う一言。「面白い」というよりも、「凄い」と言う言葉の方が、私にとってはピッタリと来る。
9歳のときに引き取られて以来の関係である花と純悟。二人は、ただの養父と娘ではなく、男と女であり、逃亡者であり、そして、血のつながりの関係でもある。その状況に対し、背徳感があり、嫌悪感があり、しかし、安らぎもある…。ひたすらにある雁字搦めの関係。読み進めるうちに、読んでいる側までどんどんと雁字搦めにされていくような錯覚を覚える。
物語の構成も非常に練られている。基本的には、2008年、花の結婚に伴う二人の別れ、というところがスタートとなり、章ごとに時間が遡って、二人の出会いで終わる。当然、読者は前の章で後にどうなったのか、という結果を知りながら、そのとき、何があったのかを紐解く形になるわけだが、それと同時に二人のどんどん、二人の関係の強さ、固さを感じずにはいられなくなっていく…。そして、読み終わった後、第1章のその後が気になって仕方がなくなってしまった。
テーマそのものが、嫌悪感を覚えるようなテーマを含んでいて、実際、楽しい、明るい気分で読めるような作品ではないのだが、そんな世界にグイグイと引き込まれてしまう。そういうパワーを感じさせる。
いや、本当、すげぇ…。

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COMMENT 2

藍色  2008, 03. 17 [Mon] 01:07

こんばんは。
すごい迫力でグイグイと引き込まれました。
時間が遡る構成が秀逸でしたね。
読み終わった後、初めのページに戻って読み返していました。

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たこやき  2008, 03. 17 [Mon] 18:14

藍色さんへ

こんにちは~。
本当、嫌悪感を含めて思うところは色々と出来るのですが、それを含めて引き込む力のある作品だな、というのを感じました。
二人の関係の根源まで遡り、そうすると、再び現代、そして未来がどうなったのか…というのが気になる、という仕掛けは素晴らしいです。

Edit | Reply | 

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