(書評)はたらく魔王さま!2
- 19, 2011 10:14
- や行、ら行、わ行の著者
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著者:和ヶ原聡司
働きっぷりが認められ、店長代理に昇進することとなった魔王。しかし、同時に、向かいに出来たライバル店・センタッキーとの売り上げ競争にバイト人生が掛かることになってしまう。そんな頃、魔王城(6畳1間、築60年)の隣に和装の少女が越してきて……。
庶民派な魔王と勇者、という設定は前作から続いているものの、それにツッコミを入れるべきはずの存在たちが、すっかりと馴染んで、ますます庶民派になっているところにまず笑いがこみ上げる。話としても、そういう日常描写の比率が高くなって、求めているところがわかっているな、という感じ。
今巻のキーとなるのは、魔王たちの隣人となった和装の少女・鈴乃。良家の子女のような振る舞いはしつつも、色々と知識が欠けた存在。しかも、恵美と千穂は、その存在が色々と気が気でない。勿論、予想通りに彼女はある目的を持っていて……となるわけだけど……
「節約のためなら、健康を害することもいとわない!」
とか、前作では、物語の進行に重要な存在なのは勿論、どちらかというとツッコミ役だった芦屋さんが、全く働かないで浪費する漆原さんとかに囲まれて、色々とおかしくなってきたことを強調する役割としても十分に活きる等、使い方が上手い。その上で現れる敵も……変態紳士だし(笑) ツッコミ役とか、そういうのが揃いも揃って庶民派に落ちるか、変人か、というバランスで楽しく読むことが出来た。前作に続いて、高いレベルで水準を維持していると思う。
ただ、その一方で、個人的に、このシリーズ、今後、どういう方向に行くのかな? と気になるところもある。
前巻と比べて、今回は、魔王の敵となる存在の部分が複雑になってきたから。それは恵美の立ち位置の問題とかもあるんだけど、これが進むうちに、ますます複雑になっていくと、こんがらがって面倒くさいことになりそうだな、という危機感もあるのだ。基本、なんか、やたら庶民的、もっと言えば、貧乏臭い魔王たちの生活を楽しむシリーズだと思っているだけに、敵の事情が複雑になるとそこを素直に楽しめないのでは? と感じてしまうのである。
と、何か、シリーズの今後について、やけに悲観的な言葉を並べてしまったが、上の段落はあくまでも、私の勝手な妄想に基づく悲観論。この巻の話そのものは、先も書いたように1巻目同様に面白かった。
No.2666

![]() | はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫) (2011/06/10) 和ヶ原 聡司 商品詳細を見る |
働きっぷりが認められ、店長代理に昇進することとなった魔王。しかし、同時に、向かいに出来たライバル店・センタッキーとの売り上げ競争にバイト人生が掛かることになってしまう。そんな頃、魔王城(6畳1間、築60年)の隣に和装の少女が越してきて……。
庶民派な魔王と勇者、という設定は前作から続いているものの、それにツッコミを入れるべきはずの存在たちが、すっかりと馴染んで、ますます庶民派になっているところにまず笑いがこみ上げる。話としても、そういう日常描写の比率が高くなって、求めているところがわかっているな、という感じ。
今巻のキーとなるのは、魔王たちの隣人となった和装の少女・鈴乃。良家の子女のような振る舞いはしつつも、色々と知識が欠けた存在。しかも、恵美と千穂は、その存在が色々と気が気でない。勿論、予想通りに彼女はある目的を持っていて……となるわけだけど……
「節約のためなら、健康を害することもいとわない!」
とか、前作では、物語の進行に重要な存在なのは勿論、どちらかというとツッコミ役だった芦屋さんが、全く働かないで浪費する漆原さんとかに囲まれて、色々とおかしくなってきたことを強調する役割としても十分に活きる等、使い方が上手い。その上で現れる敵も……変態紳士だし(笑) ツッコミ役とか、そういうのが揃いも揃って庶民派に落ちるか、変人か、というバランスで楽しく読むことが出来た。前作に続いて、高いレベルで水準を維持していると思う。
ただ、その一方で、個人的に、このシリーズ、今後、どういう方向に行くのかな? と気になるところもある。
前巻と比べて、今回は、魔王の敵となる存在の部分が複雑になってきたから。それは恵美の立ち位置の問題とかもあるんだけど、これが進むうちに、ますます複雑になっていくと、こんがらがって面倒くさいことになりそうだな、という危機感もあるのだ。基本、なんか、やたら庶民的、もっと言えば、貧乏臭い魔王たちの生活を楽しむシリーズだと思っているだけに、敵の事情が複雑になるとそこを素直に楽しめないのでは? と感じてしまうのである。
と、何か、シリーズの今後について、やけに悲観的な言葉を並べてしまったが、上の段落はあくまでも、私の勝手な妄想に基づく悲観論。この巻の話そのものは、先も書いたように1巻目同様に面白かった。
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