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(書評)無貌伝 綺譚会の惨劇

著者:望月守宮

無貌伝 ~綺譚会の惨劇~ (講談社ノベルス)無貌伝 ~綺譚会の惨劇~ (講談社ノベルス)
(2011/08/04)
望月 守宮

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三探偵の一人・御堂八雲。同じく三探偵の一人である秋津承一郎の下で見習いをする古村望は、八雲に呼び出される。特別な列車に集まった人々によって行われるのは、八雲の主催する綺譚会。そこでは、怪盗・無貌と、その協力者・魔縁たちにまつわる物語の数々が語られる……
著者の言葉として、「短編集という形式が好きです」というものが書かれているのだけど、まさしく、今回は、そのような印象を抱かせる作り。
綺譚会に集った人々。彼らによって語られる7つの物語。雪の庭園で死んでいた作家、というヒトデナシも、無貌も関係のない話から始まって、呪いを司るという犬神の物語、父が残した不思議な酒、さらには、主人公である望がかつて所属していたサーカス団の顛末まで……。
これまでのシリーズでも、ヒトデナシが作り出す、幻想的な世界などが魅力的だったのだが、それは本作も顕在。短編の形になっているので、一つ一つのスケールは小さいけど、その代わりにそれぞれで全く違う舞台が用意されていて、これはこれで十分堪能できる。
ただ、それ以上に、本作の魅力は、その構成だと思う。
先に書いたように、最初に語られるのはヒトデナシなどが関係のない、雪の密室ミステリという様相の物語。そこから、少しずつ、ヒトデナシも関わる事件が現れ、だんだんと謎解き的な要素は薄れていく。
しかし、その代わりに、だんだんと無貌の協力者である魔縁とは一体、どういう存在なのか? どうしてそうなっていったのか? ということへと繋がっていく。しかも、後半になればなるほど、それぞれのエピソードの人物のその後などの形で、どんどん繋がりがわかっていって、これがここに繋がるのか、というサプライズを次々と味わうことになった。物語のつなげ方としては、まさしく「完璧」じゃないかと思う。
まぁ、これはシリーズ作品なので仕方がない、というのはあるんだけど……もったいないのは、今回のエピソードがそのまま「繋ぎ」的な位置にあること。どうしても望自身などについては、過去のシリーズを読んでいないとわからないだろうし、また、物語のラストシーンがそのまま次作へと繋げて、という形になっている。単品として、素晴らしい出来なのに、この作品だけをお勧めしづらいのが、凄くもどかしい。
でも、本当に面白かった。続きも期待しています。

No.2667

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