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2011/10/16 (Sun) 22:20
(書評)ユリゴコロ

著者:沼田まほかる

ユリゴコロユリゴコロ
(2011/04/02)
沼田 まほかる

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恋人が突然姿を消し、父は末期がん。父の世話をするはずだった母は、父より先に事故で他界。いきなり崩れた平和な日々の中、亮介は父の書斎で4冊のノートを発見する。そこに記されていたのは……
巧いなぁ……。読んでいて、まず、そう思った。
物語は、書斎で発見したノートを読んで、というところから始まるのだが、そのノートの吸引力が抜群。
ノートに書かれていたのは、当たり前のように人を殺害してしまう、という人間の独白。幼い頃、憧れていた少女が目の前で死んでいくのを見て、興奮と安らぎを覚える。そして、その後も次々と……
はっきり言って「異常」という一言になるような内容。文章で綴られただけで、具体的にこうだ、という証拠は全くない。常識的に考えれば、話を聞いた弟が言うように、両親のどちらが書いた小説か何かだろう、と考えるべき内容。けれども、現在の自分の家族と通じる部分がある。そして、幼い頃、母親が入れ替わってしまったような記憶を持つ亮介にとって小説だと切って捨てることが出来ない。理屈ではない感情によって不安に陥り、読み進めるしかないという亮介の心情と同様、どんどん読み進めた。この時点で、著者の手法に絡みとられてしまったように思う。
そして、そんな物語は中盤で一応の真相が判明し、方向転換へ。
序盤で提唱された恋人の失踪とか、ノートを中心にしていたときには蚊帳の外になっていて、どうしたの? と思っていたのが、急にクローズアップされたりで、多少、戸惑ったところはあるのだけど、前半のエピソードとしっかりと結びつけて終わるなど、やはり巧いな、という感じで本を閉じることになった。
こう言っては何だけど、やはり、物語に中心にいるノートの「私」は異常な存在ではある。リン的にも、法的にも許されない行為をした存在である。それを取り巻く人間も狂わせている。けれども、異常な存在ではあっても、普通の方法とは安らぎを見出し、人を愛することが出来た。そんな結末にたまらなくほっとした。
気持ち悪いし、決して明るい話ではないのに、何か温かさが残る。そんな不思議な読後感を覚える作品になっていると思う。

No.2689

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コメント

こんばんは^^
あのノートにはやられました。
誰が書いたのか、またかかれた人の人生はどうなって行くのか、気になって読む手が止まりませんでした。
上手いですねぇ・・・
沼田さんの作品は初めて読みましたが、他の作品も気になってきています^^

苗坊さんへ

本当に、誰が書いたのか? 誰のことなのか? そして、本当のことなのか?
気になる箇所がたくさんあって、これだけでもどんどんと引き寄せられますよね。しかも、途中で終わってしまう、とか、読者が気になるような構成も(笑)

沼田さんの作品、後味の悪いものもあるのですが、でも、読者をひきつける力は皆あると感じています。

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