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(書評)オーダーメイド殺人クラブ

著者:辻村深月

オーダーメイド殺人クラブオーダーメイド殺人クラブ
(2011/05/26)
辻村 深月

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中学2年の少女・小林アン。クラスの「派手な」グループに属しながらも親、グループの親友、教師といった環境に閉塞感を覚える日々。そんな自分が、普通とは違う「特別な存在」となるため、「昆虫系」と呼ぶ徳川に、自分を殺すように求め……
タイトルからもっと明るい雰囲気の話だと思って手に取ったのだけど……著者お得意の(?)、学校内でのヒエラルキーだとか、そういうものがたっぷりと詰まった、とっても鬱々とした作品でとっても疲れた。
こういうと何だけど、とても身近で、でも、だからこそ見たくない部分を生々しく切り取っていると思う。
アンは自らのことを「中二病」なんていうけど、「特別な存在」とか、そういうのを願う心、さらには、他者からは少し外れた趣味・趣向を持っている、なんていうのは誰でも持っている気がする。そして、そういうのが理解されない、とか、自分の居心地のためにも、周囲にあわせなければならない、なんていう閉塞感みたいなものって、自分自身を振り返っても感じる。特に、著者の作品の舞台設定でもある、東京から微妙に近くて、微妙に遠い田舎の町(つまり、頑張れば日帰りなども出来るし、情報だけは東京と遜色ないのだけど、明らかに東京とは別世界、ということ)というのが、自分自身の経験と重なって余計に自分が感じていた閉塞感を思い出すに至った。
考えてみると、こういう地域の学校というのは、凄く残酷な場所という印象が出てくる。
ヒロインであるアン自体が、クラスメイトの派閥争いのようなものに巻き込まれる、というのが出てくるんだけど、学校という場所ではそれに付き合うしかない、というのは間違いのない事実。学校の側は、とにかく「仲良く」なんていうのをスローガンに掲げ、勿論、必要性があるとは言え、班であるとか、そういうものを作らせる。都会であれば、まだ私立とか、そういうものもあるけど、田舎の場合、小学校、中学校という人間関係がずっと続くからどうしても付き合いをせざるを得ない。それでもこじれてしまった場合には全く逃げ場がなくなってしまう。勿論、金を稼がねばならない、とか、背負っているものが違うわけだけど、最悪、退職して人間関係を自分の意思でリセットできる大人とは、また別種の苦しさがある、というのがとことん描かれている。
そして、こう言っては何だけど、クラスメイトたちの、そして、アン自身の、中途半端さ、というのもリアルだと思う。これでもか、というくらいに相手を追い詰めても、その追い詰める気力が続かない。口では「殺して欲しい」とか言いながらも、いざ、近しい動物の死などを見ると動揺してしまう。情けないといえば、情けないのだけど、そんなものだよな、と感じる(もっとも、相手を追い詰める気力が続かず、しばらくすると元に戻る、なんていうのは、逆に人間関係を面倒くさくしているわけでもあるけど) それだけに、この結末もリアルなものと言えるのだけど……綺麗に収まりすぎ、という気がしないでもない(凄く無茶な要求であることは自覚している)
読んでいて楽しいとか、癒される、なんていうのとは正反対。むしろ、徹底的に面倒くさくて疲れる作品。でも、これもまた「リアルな青春時代」というのは確かだと思う。

No.2703

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  •  2人のある計画、
  • 小説「オーダーメイド殺人クラブ」を読みました。 著者は 辻村 深月 中学2年生のリア充女子 アン 彼女はクラスの昆虫系男子 徳川に殺人の依頼をする・・・ ちょっと驚きのタイトル
  • 2012.11.10 (Sat) 09:11 | 笑う社会人の生活