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(書評)ホテルパラダイス銀河

著者:加藤実秋

ホテルパラダイス銀河ホテルパラダイス銀河
(2011/03/24)
加藤 実秋

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父の死で一度は、大学進学を諦めた京志。しかし、そこに手を差し伸べたのはあったこともない親戚。その人物の経営するホテルに住み込みで働きながら、大学に通うことになった京志だが、なぜかホテルにはトラブルを抱えた人々が集う。そして、そのトラブル解決を命じられて……
なんか、どんどんと著者が開き直っている気がする(笑)
デビュー作である『インディゴの夜』シリーズでは、渋谷での若者文化を、という形だったのだけど、中心地である渋谷から、所沢やらとローカルな方向へ。そして、本作も若者文化の中心……とは微妙にずれた上野が舞台。……ぶっちゃけ、秋葉原は間近だけど。
そんな上野を舞台に描かれる作品は、やっぱり、その舞台っぽいところが多い。
第1編目の東京甲子園は秋葉原辺りでよく見かける「エウリアン」の話。実際、駅前にいるし、東日本大震災の直後、他の店では色々と後始末に追われている中、この詐欺会社だけは平然と客引きという迷惑行為をやっていたのを思い出した(笑) 作中で書かれているのとは違って、秋葉原でも、ミニスカとかなので、メイド喫茶とかのメイド服客引きの中で思い切り浮いているし。
そんなところから物語に入って、第2編目の中心となる外国人、第3編目のホームレス……と、やはり、上野、御徒町界隈らしい人物設定になっていると感じた。
んで、そのトラブルに対処する側の人物像も、やはり、ツッコミどころ多々。謎のオーナー、ヤンキー丸出しの道也、オカンアートの龍子、生粋の江戸っ子(?)のルミ……。正直、道也とか、龍子に関しては、過去の著者の作品とかぶるところもあるのだけど、それはそれで、著者の作品を読んでいるんだな、という安心感に繋がっているようにも思う。というか、その中で、オーナーからの指示書の現れ方に大笑いした。
お前、一体、どこから見守っているんだよ!! と(笑)
その場で言われた依頼内容を知っている、というだけでもツッコミどころ満載なのに、吹き矢やら伝書鳩やらといった方法で指示書を送ってくる。個人的に、このシーンが一番の笑いどころだった。
まぁ、そんな感じで、本作も、いつもどおりにキャラクターメインで、謎そのものは、それほど緻密なものとか、そういうことは感じられない。また、京志とオーナー、そして、ホテルの過去などが明らかにされる終盤は、きれいにまとまりはしたものの、それまでと比べてシリアスな感じでちょっと雰囲気が違う印象にもなっていた。無論、それが悪いわけではないのだけど、個人的には、キャラクター描写で笑う、という方をメインに楽しんでいたので、ちょっと「違う」という感じがした。あくまでも、私自身の好みの問題として。
ただ、やっぱり、読んでいて、著者の作品だな、と感じる安心感というのが売りなのかな、とは思う。

No.2706


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