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(書評)タイムスリップ聖徳太子

著者:鯨統一郎

タイムスリップ聖徳太子 (講談社ノベルス)タイムスリップ聖徳太子 (講談社ノベルス)
(2011/11/08)
鯨 統一郎

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光華女学院の教師・氏家。彼が、学園の問題児・麓うららをしかったその後、身体に違和感を覚え、気がつくと……。倭国に君臨する聖徳太子は、自ら幻術を使い、次々と各国へと侵出を続けて……
シリーズ第8作……と言って良いのかな?
正直、本作については、何がしたかったのかサッパリわからなかった。
このシリーズ、基本的に麓うららや、その仲間が、過去へタイムスリップをし、ドタバタとしながらも史実が改変されないように調整を行う。または、過去の偉人が現代へとやってきて、現代の文化などに驚きながらも時間を過ごす、というのが主なストーリー。そして、その中に、著者流の歴史解釈というのが入るのが楽しみでもあった。
しかし、本作は、そういうのが全く感じられなかった。
こう言っては何だけど、聖徳太子が物凄い野心家で、次々と世界を支配していこうとする、ということ事態は全くかまわないのだけど、なぜか、その世界というのが現実の世界ではなく、ファンタジーな世界だったりする。これまで散々、森鴎外やら、釈迦やら戦国時代やらと、実在(?)の人物やら歴史やらをこれでもかと無茶苦茶に料理してきたのに、なぜ、今回に限って異世界なのかサッパリわからない。
こういうと何だけど、聖徳太子が生きていた6世紀末~7世紀頭って、面白い時代ではあると思う。中国では隋が斜陽となり、中東ではイスラム教が生まれ、東ローマ帝国も混乱やら何やらがあった……。そういうのを加えて料理すれば面白そうなのだが、何かそれっぽい国名は出たものの、「ホトケ」と会話できる聖徳太子と、「神」と会話できる聖徳太子が、それぞれ、神通力(?)のようなもので戦術などを考え、互いにぶつかる、というだけのもの。しかも、その戦いも、それが詳細に描かれているなら面白くもあるのだろうけど、頁数の少なさもあいまって、ただ駆け足に話が進むだけとしか感じられなかった。
自分で書いていて、なんか、凄く表面的なことしか書いていないな、と思う。ただ、それで良いや、という感じがしてしまった。
正直、お勧めしづらい一作。

No.2730

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