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(書評)ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件

著者:七尾与史

ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件
(2011/08/04)
七尾 与史

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浜松市内で、男女が生きたまま焼き殺されるという放火殺人事件が発生。中部署の若手刑事・代官山は、その捜査に加わるが、コンビを組む相手となったのは……。美人で、警察庁次官の娘である黒井マヤに振り回される中、事件は次々と起こっていき……
著者の作品は、デビュー作『死亡フラグが立ちました』は、ゆるい感じのユーモア系。2作目の『失踪トロピカル』は表紙とは裏腹のグロ系。3作目の本作は再びゆるいユーモア系の作品といえる。まあ、描き方が緩いから、で、事件そのものは結構、エグい気もするのだけど。
とにかく、事件に関して……
「どう繋がっているのかはわかるものの、どうして殺されなければわからない」
という設定が絶妙だと思う。
物語は基本的には、代官山の視点で綴られ、その間に被害者の視点が挿入される。被害者となる人々は互いに繋がりが存在し、しかも、そこには何らかのトラブルが介在する。そして、そのトラブルの当事者同士という関係が存在する。読者にしろ、主人公である代官山にしろ、そこまではわかるのだけどそこまではわかるのだけど、それぞれのトラブルはその場でのもの。どうして、同じ犯人がそれを追って殺していくのかわからない。(真相はタイトルどおりで、かなり無理筋だけど)謎そのものは魅力的だし、また、テンポよく展開するので、どんどん読み進められた。
はっきり言って、んな真相読めるか!!(笑) という感じはしたんだけど。
で、登場人物もツッコミどころの多いキャラが多く、緩い印象をより強調している。個人的には、マヤ以上に、普段はダンディーなアニメオタクの神田が印象に残った。
……一般小説でみさくら語を目にするとは思わなかった……(一言だけだけど)
マヤについても、キャラクターの印象は強く残る。ただ、一つだけ言うと……
ドSか、彼女?
という気がする。
お嬢様気質で、口が悪いのは確か。でも、ドSという感じはしない。というのも、相手を罵倒して、みたいなところがあまり感じられないため。むしろ、事件現場に言っては死体を見て大喜びをするとか、グロ映画などを好むとか、猟奇趣味なだけでは? という感じがしてしまう。『ドS刑事』と題名をつけられると違うよな……と感じるのだ。話の本筋とあまり関係がないといえば関係ないし、どちらにせよ、困ったキャラなのは確かなのだが。
でも、デビュー作同様、力を抜いて楽しむことが出来る作品にはなってると思う。

No.2736

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  •  心を鷲掴みにしそうなタイトルと、謎めいた美女が目を引く表紙イラストの魅力に抗えず、とうとう買ってしまった「ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件」(七尾与史:幻 ...
  • 2012.05.06 (Sun) 10:18 | 本の宇宙(そら) [風と雲の郷 貴賓館]
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  • 静岡県浜松市で、人間が生きたまま次々と焼き殺される、残虐な連続放火殺人事件が起こる。被害者は、元ヤクザ、詐欺師、OL、主婦、歯科医など様々で、何の手がかりもない。それなの
  • 2012.10.23 (Tue) 06:03 | キャッチヘルブルース