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(書評)勇者には勝てない

著者:来田志郎

勇者には勝てない (電撃文庫)勇者には勝てない (電撃文庫)
(2012/02/10)
来田 志郎

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魔王に告ぐ強大な力を持った存在として、人々に恐れられた「三魔将」。しかし、アッサリと勇者に敗れ去り、今は、(ちょっとだけ力を残した)平凡な高校生としての日々を送っていた。そんな彼らの前に、一人の転校生がやってくる。その転校生・菅田香澄は勇者の証である「光の波動」を持っている。勇者の生まれ変わり? 自分たちを追ってきた? こうなったら、土下座するしかない!! そう決意するのだが……
なんか、ワンアイデア作品だな、という印象。
この作品は、第18回電撃小説大賞の銀賞受賞作になるんだけど、異世界から勇者と魔王がやってきて、というのはここのところ多い。その前年の受賞作『はたらく魔王さま!』とかだって、そんな感じ。ただ、この作品のアイデアというのは、その主人公をそこまで強大な存在にせず、あくまでも勇者にも魔王にも勝てない「魔王の部下」にしたところ。そして、勇者は「強大な力を持っているが、前世の記憶がない」ということ。この部分のアイデアによって成り立っている。
どうしても体力などを削られてしまう上に、前世で殺されたというトラウマがあるから、どうしても卑屈になってしまう、とか、そういうところはわかるし、香澄の側があまりにも「良い人」過ぎて却って困らせるとか、そういうのは良いと思う。
ただし、全体的に、色々と活かしきれていない、と感じるところが多い。
まず、主人公。冒頭に書いた3人の魔物・三魔将の1人として描かれ、その3人が友人同士、という形で綴られる。しかし、ぶっちゃけ、3人がいつも一緒に行動し、それぞれ、大した力もない……という状況で、あまり3人の必要性が感じられないのだ。ぶっちゃけ、1人でも良くね? とか思う。まぁ、カラーイラストの土下座の迫力のためには3人の方が良いのだろうけど。
次に、後半に出てくるキャラクターが単純に鬱陶しい、という状況。立場的なものはわかるんだけど、少なくとも好感は持てないキャラ。しかも、勇者でも魔王でもないのに、当時のままの力を持っているとか、色々とご都合主義でないか? と感じてしまう。
他にも関係者ばかりが集まってしまうとか、そういう設定も色々とうまくいきすぎだし……。なんか、もう少し緻密さがあればなぁ、と感じてしまうのだ。
まぁ、先にも書いたワンアイデアについては良いと思う。ただ、それを存分に活かしきれた作品なのか? と問われれば、もう少し、という風に言わざるを得ないかな、と感じる。

No.2882

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