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(書評)金色の獣、彼方へ向かう

著者:恒川光太郎

金色の獣、彼方に向かう金色の獣、彼方に向かう
(2011/11/16)
恒川 光太郎

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4編の作品を収録した短編集。一応、「鼬のような、不思議な力を持つ獣」というものを通しての薄い繋がりがある。
最初に書くと、著者の作品にどういうものを求めるのか、ということで評価が変わるのではないか、と思う。私の印象では、著者は「すぐ身近にある異世界」という印象である。ところが、そういう作品は今回はちょっと少なかったように思う。
その「すぐ身近にある異世界」といえるのは、2編目の『風天孔参り』。樹海の近くでレストランを営む岩渡。彼の店に暗い雰囲気の団体客がやってきた。そして、その一人の女性が、店に戻り、泊めてほしいと求める。彼女らは、「風天孔参り」をしているのだと言う。
案内人に連れられると、なぜか発見できる可能性が高くなる風天孔。そこに入ると、ここではない世界へと旅立てるという。それを知り、その中へ消えていく人々。彼らを見つめ、大事な人を喪った岩渡は……。先に書いたような身近な異世界があり、そこに巻き込まれてしまった人間は元に戻れない、というような状況。それを感じさせる。
その一方で、作品集のOPを飾る『異神千夜』は、前作『竜が最後に帰る場所』の『ゴロンゴ』を髣髴とさせる壮大な物語。元寇を前に、対馬に生まれ、やがて元の密偵となる男が出会うもの。瞬く間に世界を制圧したモンゴル帝国。様々な民族が入り込んだモンゴル帝国の混沌とした状況。そして、そんな時代、科学などが発達しておらず、不可思議な力なども進行されていた時代。そんな時代性と、著者の描く不思議な能力、獣の力、といったものが非常にマッチしており、壮大な物語として楽しむことが出来た。
ただ、正直なところ、表題作を含む後半2編は、獣の存在は共通しているのだけど、イマイチ、世界観が曖昧な感じがしてしまった。表題作などは、一見、現代を舞台にしているように見えて、謎の墓堀人とか、そういうのがいて「?」と感じてしまったのだ。
そういうところが引っかかり、前半と比べ、後半2編はイマイチ入り込めなかった。

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