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(書評)テディ・ゴー!

著者:加藤実秋

テディ・ゴー! (PHP文芸文庫)テディ・ゴー! (PHP文芸文庫)
(2012/03/16)
加藤 実秋

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「よう、俺だよ!」 バイト先の雑貨店から和子が持ち帰ったカエルの人形から聞こえてきたのは、心中偽装事件を解決し、成仏をしたはずだった康雄だった。なんと、天国に行くには混雑をしていて、ポイント稼ぎをしなければならないのだという。そんな翌日、和子は盗作事件に巻き込まれてしまって……(『帰ってきたあいつ』)
など、4編を収録した連作短編集で、『アー・ユー・テディ?』の続編。
個人的に、前作よりも好き。もっとも、これは、前作でのやりとりがあったから、かも知れない。
と、この記事だけを読んでいる人にはサッパリわからない一言感想から入ってみたのだけど、殺人事件というものを題材にした前作と比べて、今回は事件の規模は小さくなっている。事件というのは、冒頭に書いた盗作事件、マンションに出るという幽霊騒動、建物に投げ込まれる漫画雑誌、そして、転落事件。最後の転落事件は重大な事件だけど、同じ犯罪でも盗作事件の規模は小さく、幽霊騒動などに至っては「日常の謎」の世界。でも、そんな感じの事件であるだけに、却って、身近に感じられる。また、短編としたことで、和子の夢関係、家族関係、康雄の家族関係などが無理なく挿入できるのも強みといえると思う。
そして、もうひとつが、和子と康雄のやりとりが安定してきた、という点。
相変らず、親父ギャグとか、そういうのも多いのだけど、和子の方も、そういうのを通じて、あしらい方を身につけている。さらに、そういうところで言い争いはしても、肝心な部分ではしっかりと信頼しているのだ。前作の事件、そして、本作で起こる事件というのが、確実に両者の信頼関係樹立に役立ったいる、というのは読んでいて心地よい。こういうのって、シリーズ作品の強みといえると思う。
まぁ、事件そのものは、結構、早い段階で予想がつくものもある(例えば、1編目などは、関係者が最初からいないのだから、犯人はバレバレ) なので、謎解きメインとはいえないかもしれない。でも、先に書いた安定した和子と康雄のやりとり、信頼関係の強化……そういうところで楽しく読むことが出来たのでOK。そして、個人的には、最初に書いたように、前作よりも好きだ。

No.2909

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