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(書評)プリティが多すぎる

著者:大崎梢

プリティが多すぎるプリティが多すぎる
(2012/01)
大崎 梢

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なんで俺がこんな仕事を!? 学生時代から憧れの出版社、それも大手の千石社に入って2年。文芸でも、雑誌でもと希望していた新見が配属されたのは、中学生を対象としたティーン誌『ピピン』の編集部。全く理解できない世界の中で……
読んでいて、最初に思ったのは、「坂木司作品っぽい」っていうもの。少し前に、『ウィンター・ホリデー』を読んだから、というのもあるんだけど、自分の全く理解できない仕事を嫌々ながらやって……というのが、らしい、と思ったのだ。
正直なところ、主人公の気持ちは「わかる」と思うところが半分、「ダメじゃん」と思うところが半分。その辺りについて書いてみようと思う。
「わかる」っていうのは、女性向けファッション誌、特に、ローティーン向け、で「良い」とされているものがどう「良い」のか、どう「違う」のか、という感覚が全く理解できないところ。少なくとも、私のようなおっさんに入りかけ世代男性としては、その点については良くわかるのだ。まぁ、初めての世界っていうだけでも、戸惑うのは当然だし。
ただ、その一方で、主人公がダメだと感じるのは、その世界に溶け込もう、という意思がないこと。わからない、でがんばるんじゃなくて、わからない、でも良い、という思考が続くのでちょっとイラっと来た。お前、それはダメ過ぎるだろう、と思わずにはいられない。
その一方で、モデルを巡る裏話とか、そういう業界の話は興味深く読むことが出来た。まぁ、その辺りも含めて、坂木司っぽいと感じるのだが……。実際、モデルの選定とか、そういうのって色々と厳しいのだな、というのが凄くわかった。大人だけでなく、子供の世界でもそうなのか……。
そういうのも含めて、興味深く読むことが出来た。ただし、やっぱり主人公がちょっとむかつくっていうのは残った。それはそれで味かもしれないけど。

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