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(書評)あそびの時間 暗黒遊戯昇天編

著者:本岡冬成

あそびの時間 (ガガガ文庫)あそびの時間 (ガガガ文庫)
(2012/09/19)
本岡 冬成

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高校3年。進路などすら一切決まっていない小鳥遊優征は、ゲームセンターでのバイトを始める。店員も、客も、変わり者ばかりのゲームセンター・ミドリ。そして、そんな店にある嵐の夜・全一のプレイヤー少女・ノラクロが訪れる……
ん~?
なんか、どうコメントしようか、という感じ。いや、だって、主人公、何かしたっけ? という感じなんだもの。
いや、よくよく考えると、前半は優征、主人公をしている。かつて、一度だけ行ったゲームセンター。そこで、格闘ゲームをし、ボッコボコにやられてしまい、それがトラウマとして残っている。しかし、その中で都合よく忘れていたけれども、自分自身もノラクロを同じような目にあわせていた。それを知り、ノラクロの挑戦を受けて立つ……勿論、本気の勝負をすることで。
そのあたりまでは、一応、主人公をしているのだ。
ところが、その後は、完全にノラクロの物語になってしまう。そこまでと違い、優征視点だけでなく、ノラクロ視点の部分が挿入され、Kという謎の少年との交流、さらに、「クラン・ピカロ」なる謎のゲームセンター探し……がなされる。その中には、ノラクロの抱えている葛藤などがあり……となる。
勿論、それ自体は良いのだが、ノラクロの方は新たな一歩を踏み出したのに対し、優征については中盤のノラクロとの出会いのところでストップしたまま話が終わってしまう。そのため、結局、何だったの? という感が強く残るのだ。また、こう言っては何だけど、「クラン・ピカロ」自身が結構、しょぼい(苦笑) はっきり言って、このレベルのものなら、現実に山のようにあるんじゃなかろうか、と思えてしまい、ネットで噂にすらならないと思うのだが(ローカル掲示板みたいなところなら別として、地元民ではないノラクロがわざわざ遠征するほど、広まると思えない)
著者がゲームセンター店員をやっていた、というだけあって、ゲームセンターの雰囲気(それも、各ゲームセンターごとにカラーが違うなども含め)とか、そういうところは良かったのだが、何か、物語としてみると何だったの? という感じで、弱いな、と感じざるを得なかった。

No.2982

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