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(書評)凸凹サバンナ

著者:玖村まゆみ

凸凹サバンナ凸凹サバンナ
(2012/08/31)
玖村 まゆみ

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法律事務所を開業したばかりの田中。コネもなければ金もない。スポンサーである原口には、「早く稼げ」とせっつかれる。そんな中、彼の事務所を訪れるのは……
こう来たか!!
「掟破りのリーガル・ミステリー」とあるのだけど、確かに、色々と掟破り。ただ、その「掟破り」の部分はともかくとして、物語の方向性はなかなか面白い発想だな、ということで、先の「こう来たか!」という感想を抱いた。
「リーガル・ミステリー」なんていうと、パッと思い浮かべるのは法廷ミステリ。でなければ、法律上の解説などで問題を解決していく、なんていうものを想像する。ところが、法律的な解説などもあるにはあるのだが、物語の中心になるのは、そこではなく、人間関係そのもの。
とにかく、自分に有利なことばかりを話し、自分の都合の良いように全てを捉える依頼人だったり、小学生のちょっとした相談に乗ったら、母親に怒鳴り込まれた、だとか……そういう話がしばしば出てくる。中には、法律が一切関係の無い話すらある。なので、これが「リーガル・ミステリー」? なんて思うところもある。でも、ちょっと考えてみると、実際の弁護士とかも、そういうところってあるんじゃないかな? と思えてくる。だって、民事訴訟って、「自分たちで証拠を集める」のが基本だから、自分に都合の良いものばかりを集めることになるし、家族内とか、そういうところになれば骨肉の争いにもなる。そうすると、法律的な話以上に人間関係の話になるんだろう、と……。そこをメインに持ってきた、というのは面白い。そして、その中で、不器用な田中が、それでも一生懸命、色々とやろうとする、っていうのはひとつの味になっていると思う。
そして、そんな中で、田中自身の事情が出てくる。田中がかつて、服役していた過去を持っていること。そして、実は……
ここが「掟破り」のところなんだけど……正直、「何がしたかったの?」という感じになってしまう。ある意味では大仕掛けなんだけど、既に作品の終盤では色々とバレているわけだし、ネット上にサイトを作って広告を出しているとか……明らかに自滅するだけのパターンに陥っているように思えてならないのだが……。志があるなら、その形でなくてもよくない? と思えるのだが……
7割、8割くらいは面白かった、なのだけど、残りが「腑に落ちない」という感じの読後感を覚えた。

No.3003

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