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(書評)嫉妬事件

著者:乾くるみ

嫉妬事件 (文春文庫)嫉妬事件 (文春文庫)
(2011/11/10)
乾 くるみ

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城林大ミステリ研究会が行う年末恒例の犯人当てイベント。その日、サークル1の美女・赤江静流が恋人を連れてやってくる。が、そんな日に、密室状態となった部室の本棚の上には、あるモノが……
とりあえず、序盤でそのものずばりで出てくるので言うと、本棚にあったのは「うんち」、「糞」……などなどと言われるもの。そして、その時点で「このタイトルは……」と思うことになると思う(笑) ある意味、物凄い出オチ感を序盤に覚えたのは私だけではあるまい(笑)
ただ、題材が題材ではあるのだが、中身はかなり真面目な本格ミステリ。
部員しかしらない(はずの)数字錠で施錠されていた部室にあったソレ。当然、容疑者は、部員の中の誰かになるはず。それは一体、誰なのか? なぜ、本棚にそれが置かれていたのか? トラップのように設置されていたそれは、一体、誰を標的にしたものなのか? 外部の人間の犯行という可能性はないのか?
そういうものを部員たちが一つ一つ検証していく。そして、その中で新たなる情報が現れては、容疑者としての疑惑が移動する。可能性を潰していく話し合いと、その中での疑惑の変動というのは、なかなか面白い。
ただ、この感想を書くにあたって、色々なレビューなどを読んで、自分も全く同感と思ったのだけど、題材が題材なだけに、嫌悪感を抱く人が多そうだな、というのを思う。そして、それについて、作中で出てくる会話が凄く印象的。「人間の死体と、糞、どちらも実際に見たりするのは嫌なものだけど、ミステリ作品の題材となっていたら、死体を巡る物語の方が圧倒的に魅力的に感じるのはなぜだろう?」 確かにそう。凄惨な遺体とか、見たくないはずなのに、小説の題材になると途端に魅力的な題材に化けてしまうもの。
……これは、日常の中で見る可能性の高さというのが影響しているのかな? とは思うのだけど。現在の日本なら、とりあえず、そういう凄惨な死体などを見る可能性って低いからね。人間の尊厳とか、そういうもの以前に、あくまでも「想像」により、頭の中で本当に見たくない部分をカットするなどしているんじゃないか? と、勝手に想像してみる。……なんか、話が逸れている気がする。
まぁ、話の進め方などはオーソドックスながら、題材そのものが人を食ったもの、という著者のテイストは強く感じた。とは言え、この真相喝破は、ちょっとアンフェアだと思うが。
もう1編の『三つの質疑』については……最後に探偵による解説というか、フォローがある時点で色々と苦しい(笑)

No.3008

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