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(書評)ラバーソウル

著者:井上夢人

ラバー・ソウルラバー・ソウル
(2012/06/02)
井上 夢人

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洋楽専門誌にビートルズに関する評論がたまに載る。それだけが社会との僅かな繋がりである鈴木誠。幼い頃の病により、普通の人間とはかけ離れた容貌となった彼が、ひょんなことからモデルの美縞絵里を車に乗せ、彼女に魅せられて……
物語は、鈴木誠、美縞絵里をはじめとする関係者のインタビューと、三人称視点で犯人が行動する描写で綴られる。そこで描かれるのは、ある意味では「純愛」なのかもしれないが、独りよがりこの上ないストーキング。はじめは遠くから見守るだけだったのだが、やがて、様々な方法を駆使して絵里を監視し、独りよがりな解釈により次々と事件を起こしていく。そして、ようやく絵里が犯人についてヒントを得たとき……
……と殆ど最後までのあらすじを書いてどーする(ぉぃ)
でも、この作品の場合、その描き方と、また「純愛」の言葉から、何らかの仕掛けがあるのだろうというのが察知できる。そして、確かに読んでいて、大まかなところのつじつまはあっているのに「何かおかしいような……」という感覚は残る。そして、それが最後にはっきりとしたところで、その真相が明かされる。物凄い力作であった、ということは間違いない。
「空前の純愛小説」というのは、こういうことか……というのも理解できる。まさしく、「全てを捧げて」だということが。
ただ、その上で、これはアンフェアな部分もあるよな……とも思う。力を入れて書いたからこそ、緻密に、徹底的に仕掛けを施したのはわかるのだが……少なくとも違和感は覚えても、真相を喝破するのは無理だよ!! まあ、それはそれで良いか、という気持ちにもなっているのだけど。
それはそれとして、本作のタイトルはビートルズのアルバムタイトル。そして、作中の章名も曲名となっている。さらに、ビートルズの曲の歌詞にちなんだ展開などもあるらしい。このあたり、全く詳しくない自分が味わうことが出来たのか、というと……。こういうところを知っている人は、もっと楽しめたのではないかと思う。
そのあたり、自分の知識の無さが恨めしい。

No.3011

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