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(書評)キリストゲーム CIT 内閣官房サイバーインテリジェンスチーム

著者:一田和樹

キリストゲーム CIT内閣官房サイバーインテリジェンスチーム (講談社ノベルス)キリストゲーム CIT内閣官房サイバーインテリジェンスチーム (講談社ノベルス)
(2012/04/05)
一田 和樹

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2014年10月。若者たちの間で「キリストゲーム」と呼ばれる奇妙なゲームが流行りだしていた。ゲームと言っても、ルールは簡単で、『導き手』と呼ばれる人物の願いを『導き手』は実行し、そして、自殺する。年を越し、そのゲームが拡大する中、政府CITは、経産省から出向した刈戸と、警察庁の問題児・箱崎早希による対策計画「オペレーション・ユダ」を発動する……
過去2作というのは、基本的には著者の専門でもあるWEBセキュリティとか、そういうものをメインにした作品。本作も、WEBサイトを介して、とか、そういう部分で作者らしさを感じるところがある(ちなみに、過去2作の主人公・君島も登場する) しかし、基本はファンタジーという形になっている。
で、このファンタジー要素が結構なクセモノかな? という風に感じた。
というのは、ここで出てくるファンタジー要素というのは、言葉によって相手を自在に操ってしまう「言罠」というもの。これ、ある程度は事実としてあるけど、作中にあるのは明らかに威力ありすぎ、というそういうものだから。
私自身、小説とかを読んでいるけど、やっぱり同じ内容なのに「心を掴む表現」があり、「掴まない表現」もある。演説とか、そういうのでも同様だと思う。演出の力、とか、そういうのもあるわけだけど、熱狂して、なんていうのを考えれば「言罠」の基本的な考えっていうのは否定できないと思うのだ。マインドコントロールとか、そういうのも存在しているわけだし。ただ、作中に出るようなところまで行くと、やりすぎと感じてしまう。
無論、それを奇異に感じないように世界観を作り上げていれば、これはこれで味になるのだろうが、いきなり出てきて、しかも、それが全て、となるとちょっと違和感を感じてしまう(まぁ、刈戸自身が「トンデモ科学」と言っているわけだが) さらに、物語終盤では、その威力とかが遥かに強大になってしまいその設定の構築とかが都合よく動いているように感じてしまうのだ。WEB関連の部分が緻密だからこそ、余計にそれを感じてしまう。
リーダビリティとか、そういうのは流石だし、面白く読めるのだが、シリーズ化前提のためか、色々と残した伏線などとあわせ、ちょっと消化不良感が残った。

No.3071

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