(書評)ナミヤ雑貨店の奇蹟

著者:東野圭吾

ナミヤ雑貨店の奇蹟ナミヤ雑貨店の奇蹟
(2012/03/28)
東野 圭吾

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強盗を働き、街の隅にある古びた雑貨店跡へと逃げ込んだ3人の男たち。朝まで、そこで身を潜めよう、とする3人だったのだが、廃屋と思われたそこに一通の手紙が投函されて……
「こんな話も書くんだ」 読む前に、お世話になっているブログなどを見て回ったところ皆、そのように書いていた。そして、私も思う。
東野さん、こんな話も書くんだ。
物語の中心となるのは、雑貨店に投函されるお悩み相談の手紙。悩んだ人が、その悩みを記し投函すると、その返事が書かれ、家の外に置かれた牛乳箱に返事が投函されている。それを悩みを抱く側、冒頭に書いた青年のような解答する側から書かれる。
やりとり自体は、昔、ヒットした『生協の白石さん』を彷彿とさせるようなものから(例えば、「テストで100点を取るにはどうすれば良いですか?」「先生に頼んで、あなた自身についてのテストを作ってもらいましょう」)から、まさしく真剣そのものの悩みまでもが綴られる。それも、時代を超えて……
五輪を目指すスポーツ選手からの手紙。五輪を目指したいが、恋人は不治の病で、その恋人ともいたい。どうするべきか?
歌手を目指しているが、芽が出ない。そして、父は病。家業を継ぐべきか、それとも?
そのお悩み相談を始めた雑貨店の店主。その店主が息子に託したのは……?
夜逃げをしようとする父。自分は、その父についていくべきなのか?
そして、自立した人間になるため、どうすれば良いのか? という女性からの手紙。
タイムラグもあるし、手紙という形式だから、で意思の疎通に齟齬が生じるときもある。雑貨店に逃げ込んだ男たちは、決して品行方正でもない。それでも一生懸命に解答するし、相手もそれをどうすべきか汲み取っていく……。それぞれが非常に綺麗な物語として成り立っている。
……と同時に、それぞれが結びついていく、という構成の仕方。そういう構成の話自体は珍しくないのだけど、登場人物がそれぞれに繋がりがある、なんていうのは、ネットのない時代の、町に密着した雑貨店が舞台というので不自然さは全く感じない。そして、同時にある孤児院とも繋がり、やがて、冒頭の男たちにも……というのは非常に綺麗なまとまり方。
これまでの作品とは異質だけど、さすがだな、と思わざるを得ない。

No.3084

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  • 2013.04.17 (Wed) 08:38 | 日々の書付
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