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(書評)RYU

著者:柴田哲孝

RYU (徳間文庫)RYU (徳間文庫)
(2009/04/03)
柴田 哲孝

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沖縄北部の川で発見された一艘のボート。乗っていたはずの米軍兵は行方不明になり、ボートに残されたカメラには不可解な写真が……。アルポライターの有賀は、雑誌社からの連絡で、愛犬のジャック、写真家のコリンとともに現地へと向かう。果たしてその近くの集落では、最近、家畜やペットが消えてしまう、という事件が起こっており……
ということで、有賀シリーズ、UMAシリーズなどといわれる一作。私が読んだ文庫版は、09年に刊行されたものなのだが、元々は『KAPPA』に続く作品だったらしい。時系列的には、『KAPPA』『RYU』『ダンサー』ということになるのだろうか。それを考えると、確かに納得できるところがある。
というのは、作中では有賀らが中心ではあるのだけど、米軍のMP・フランクの視点で綴られる場面もしばしば。そして、そこでは、「戦争」というのが91年の湾岸戦争のことだったりする。また、携帯電話が出てこないとか、そういうところからも結構、前に書かれた作品なのだな、というのが理解できる。
とは言え、話しそのものは面白い。
物語の基本は『KAPPA』同様に、次々と起こる奇妙な事件の中、写真に写った謎の動物は何か? というのを探る形で展開する。ただ、『KAPPA』の場合、最初に発表された当初の先読みが非常に正確であった為に「正体はこれだろう」と思うものが早い段階でわかるのだが、本作はそこがわからない。そのため、その正体を知りたくてどんどん読み進められた。そして、それを上手く活かすのがコリンという存在。写真家ではあるものの、学生時代は名門大学で生物学の研究をしていた、ということで、仮説について生物学的見地で見解を述べ、それを絞っていく。私が想像した動物も、それで否定されたりもした。この辺りは、専門家としての存在がいない『KAPPA』よりも優れている点ではないだろうか。その一方で、動物に対する「人間の責任」というテーマが一貫しているのも良い点だと思う。
まぁ、有賀がその動物の正体に気づく辺りがちょっと一足飛びかな? と感じた部分はある。ある程度は、動物の正体は予測できると思う。でも、それを欠点とするのは意地悪のようなもの。リーダビリティも高く、最後まで楽しく読めた。

No.3112

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