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(書評)配当

著者:ディック・フランシス
翻訳:菊池光

配当 (ハヤカワ・ミステリ文庫―競馬シリーズ)配当 (ハヤカワ・ミステリ文庫―競馬シリーズ)
(1987/07)
ディック フランシス

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中学教師で、射撃選手でもあるジョナサンの元に届いたのは、友人であるドナが赤ん坊を誘拐したという一報。子供ができなかった末の衝動的な犯行、ということでまとまりそうになったとき、ジョナサンはその夫・ピーターから3本のカセットテープを渡される。それは、競馬予想のプログラムを入れたもので、それをめぐりトラブルが起きている、という。渡された直後、ピーターは事故で急死し、ジョナサンのもとにも危機が迫る……
なんていうか……やっぱり、時代を感じる。
本作がイギリスで刊行されたのが1981年。日本では、1983年。当時って、コンピュータのデータを保存するのってカセットテープが主流だったのだなぁ……と。他にも、現在ではウィンドウズとか、リナックスとか、OSがある程度共通しているけど、当時は……とか、いろいろと思う。私の実家には1980年代末くらいにはPCがあったけど、その頃はフロッピーディスクとかあったしなぁ……とか、いろいろと思う。
で、そんな物語は、著者初の二部構成。
第一部は、冒頭にも書いたジョナサンの物語。プログラムをジョナサンが持っていることを知った敵・アンジェロが襲い掛かるのを交わし、出し抜いて戦う。その中に、プログラムの正体を探る、などの謎解きが含まれる。そして、第二部は、その14年後。大手馬主の下で、競走馬のマネージャーをしているジョナサンの弟・ウィリアムに、出所してきたアンジェロが襲い掛かる。兄と違い、ライフルという武器がないウィリアム。しかも、アンジェロは刑務所に入ったことで、ますます恨みを重ねている。そんなアンジェロに、プログラムを渡すのだが……
この物語のメインとなるのは、そのプログラムになるわけだが、とにかく、その運用の仕方というのがポイントというのは現在でも通用しているのかな、と思わせる。どの馬が勝つ可能性が高いのか、といっても常に100%勝てるわけではない。せいぜい、3回に1度程度(競馬においては、それでも確立としてはめちゃくちゃ高いわけだが) それを踏まえて運用しなければならないのに、それができないアンジェロ。さらに、日本などと違い、ブックメーカーを通して、の馬券購入であるため、ブックメーカーとの駆け引きまで必要になる。当然、アンジェロにはそれができない……。このあたりのシステムを巡っての部分が私は一番、面白かった。そして、その結果、「騙された」とウィリアムへの恨みを募らせていくアンジェロって、本当、面倒なやつだなぁ(笑)
その決着のさせ方はちょっと強引な気もするが、そこまでは気にしなくて良いのかな? と。
とは言え……本作の発表から30年余り。出走場について、いくつかの質問に答えるだけで結論を出すプログラムというのが夢のようなものだよなぁ……(先日、自動購入プログラムで1億円以上の黒字を計上していた人物が、脱税で、という事件はあったが、これは勝ち馬を予想する、というより購入方法の指定で儲けるというようなものなのでちょっと違うし)

No.3151

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