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(書評)虚空の糸 警視庁捜査一課十一係

著者:麻見和史

虚空の糸 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)虚空の糸 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)
(2013/04/04)
麻見 和史

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江東区のマンモス団地で他殺体が発見された。遺体はナイフを持ち、自らの胸を刺す形で自殺を偽装させられた格好で。その状況に怒りを覚えながら、捜査を開始する如月塔子ら十一係だったが、そんな中、犯人を名乗る者から特捜本部へ脅迫電話がかかってくる。「1日にひとりずつ東京都民を殺害する。この計画を止める方法はただ一つ。2億円を用意しろ」と……
警視庁捜査一課十一係シリーズ第4作。
東京都民を毎日1人ずつ殺していく。カバー折り返しにある著者の言葉に「保護対象の絞込みが出来ない」とあるのだけど、まさにその通りで、そもそも、犯人は誰なのか? どうやって被害者を選定しているのか? そんなところから物語が開始される。最初に団地で殺されたのは、フリーのプログラマー。彼はシンプルなパソコンを大量に購入し、やけに高額な収入を得ていた。そして、第2の事件では、明らかに警察への憎悪が感じられる。そして、そこから浮かび上がる一人の容疑者……
警察への脅迫がありながらも、それを秘匿して発表する警察。混乱を避ける、と言う目的はあるが、明らかな隠蔽。そして、浮かび上がった容疑者もまた、不祥事が絡み、隠蔽の構図が見て取れる。そういうテーマを取り入れながらの身代金の受け渡しへ……
過去の作品でもそうなのだけど、様々な要素を入れて、次々と展開させていくテンポのよさは抜群。正直なところ、終盤のひっくり返しなども含めて、ある程度、この手の作品を読んでいる人間にとって想像が出来る範囲内なのだと思うのだが、それでもリーダビリティの高さが抜群でエンタメ性は高い。
もっともこれまた過去作品と同じくもうちょっとボリュームがあっても良い、とも感じる。被害者のつながりとか、そういうのは掘り下げればひとつのテーマになるし、塔子の勘が冴えすぎていて、下手をすると「ご都合主義」的になってしまう。どこを重視したのか、なのがわかるだけに痛し痒しなのだろうけど……
でも、安定した面白さがあるシリーズ。ノベルス版というのも含めて、ちょっとした移動時間のお供に向いている作品なのは確かだろう。

No.3174

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