(書評)笑うハーレキン

著者:道尾秀介

笑うハーレキン笑うハーレキン
(2013/01/09)
道尾 秀介

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家族も、経営していた会社も喪い、川辺の空き家で仲間と共に暮らす家具職人の東口。そんな彼には、彼にしか見えない「疫病神」が常にその周囲に存在していた……。そんなある日、東口の元へ、奈々恵という女性が、押しかけの弟子としてやってくる。しかし、その直後、東口らの周囲に次々と不幸が訪れ……
なんか、読んでいて、著者の他の2つの作品が頭に浮かんだ。物語の展開構成の仕方と、作中の雰囲気、という意味でそれぞれ1作ずつ。まぁ、その作品については言わないでおこう。
前半はとにかく、どんどんと嫌な雰囲気が漂ってくる。奈々恵が現れてから次々と起こる不可解な事件。しかも、疫病神が指摘するように、奈々恵は明らかに何かを隠している。また、他のホームレス仲間も。次々と湧き上がる疑惑の中、東口は、自分と因縁のあるある人物と出会い……
人間、誰でも嘘をつく。嘘をつく、と言う言い方が極端なら、隠し事はある。そして、それは他人もそうだし、自分自身をも偽る。しかし、時に、そこにまっすぐに向き合わねば進めない、というのも事実。その辺りについてのメッセージと言うのは良く伝わってきた。ここのところ読んできた、著者の作品は、読み始めたところから「どんより」と感じるくらいに重い雰囲気が漂っていて疲れることも多かったのだけど、本作は、嫌な雰囲気はありつつも、何か明るい雰囲気もあり、結構、するすると読めたのも良かった。
ただ、終盤の展開は一種のカタルシスはあるものの、急展開すぎるかな? という部分も無きにしも非ず。設定とかも色々と無理があるように感じる。
ただ、ある意味、自分をとことん縛っている東口にとっては、ショック療法として良かったのかも。そういう事件があったからこそ、これまでの自分への偽り、仮面を剥ぎ取ることができたわけだし……。何だかんだで、ハッピーエンドということもあって読後感は良かった。

No.3204

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