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(書評)シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官

著者:川瀬七緒

シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官
(2013/04/19)
川瀬 七緒

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東京・葛西のトランクルームで発見された女性の腐乱死体。全裸で、著しく腐敗の進んだその死体は、身元の確認や死亡日時の確認すら覚束ない、という状況。その中でわずかにわかったのは、被害者は手足を拘束された状況で撲殺されたこと。そして、殺害されたのが、トランクルームではない、ということの2点のみ。そんな状況の中、捜査一課の刑事・岩楯は、コンビを組む若手刑事・月縞とともに、法医昆虫学者の赤堀に協力を求め……
ということで、シリーズ第2作。
前作もそうなのだけど、今作もウジムシたっぷり(笑) 特に、冒頭の遺体が発見される辺りの、トランクルームに「息も出来ないほどのハエ」とか、本当、想像すると嫌な状況。
まぁ、こういう言い方は何だけど、前作は、ウジムシの成長状況などから死亡推定時刻とか、そういうものを測定し、犯人に迫る、という「法医昆虫学とは何か?」というようなところを主軸に、様々な形に派生させていたのだが、本作は、「法医昆虫学」というよりも、「昆虫学」という部分へとシフトしているように感じられた。
というのは、赤堀の、法医昆虫学的なところで明らかになったのは、検屍によって明らかになるところとあまり変わらない部分。すなわち、遺体は発見現場で殺害されたわけではない、というようなことくらい。その上で事件が動きだすのは、法医昆虫学者というよりも、(ある意味で)エキセントリックな赤堀のキャラクターによるところが大きいため。ごく常識的な考え方を持つ研究者がメインだったら真相に至らなかったはず、と思えてならない。
ということは思いつつも、前作同様に、「どういうこと?」というのが多く、興味を惹かれる。トランクルームで発見された遺体であるが、色々と隠蔽のあとが感じられるのに、なぜか「発見してほしい」というような状況も見える。そんなチグハグ感。さらに、トランクルームそのものに纏わる胡散臭さに、犯人を巡るミッシングリンク……。正直、多少、無理やり感はある。けれども、前作同様に、ワンテーマだけでなく、様々な要素を入れるのが著者のファンサービスなのだろうなと思う。
大傑作とか、そういう評価になるタイプの作品ではないと思う。でも、読者のツボをしっかりを抑えており、最後まで気になって読ませる、そんな作品になっていると思う。

No.3207

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