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(書評)いつまでもショパン

著者:中山七里

いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)いつまでもショパン (『このミス』大賞シリーズ)
(2013/01/10)
中山 七里

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ポーランドで行われるショパン・コンテスト。世界中から、気鋭のピアニストたちが揃うその中、一族の悲願をかけて出場した青年・ヤンは、日本人ピアニスト・岬洋介らと出会う。だが、そんなポーランドの地は爆弾テロが多発。そして、コンテスト会場の中、殺人事件まで発生する……。警察が調べるテロリストは通称「ピアニスト」……
岬洋介シリーズの第3作。
何ていうか、これまでの作品でも「演奏シーンが素晴らしい」と散々書いてきたのだけど、今回はそれがいっぱい。だって、今回は、コンクールが舞台なのだから。ヤン、岬、榊場、ガリロフ……作中に登場する有力なピアニストたちの演奏が次々と、これでもか、と描かれる。文字で描かれる演奏シーンに躍動感を感じるのはもとより、それぞれの演奏に個性が感じられるなど、著者の演奏シーンの描き方がこれでもかと堪能できる一作になっている。
と、同時進行で発生するのが爆弾テロ。会場周辺で次々と起こるテロに人々はおびえ、しかし、それには屈せず、と続けられるコンクール。ヤンや岬の周辺でも、テロが発生する、という緊迫感もあり、どんどん読み進めることができた。ついでに言うと、その中で描かれるヤンの葛藤とか、青春小説的部分も読み応えがあった。
……ただ、言い換えると、純粋な謎解き、という意味では弱い気もする。犯人特定の要素とかは、論理的ではあるのだけど、謎としてはかなり小粒。それを、著者が得意とする演奏シーンの迫力と、次々と起こる爆弾テロという部分で引き伸ばした感じがする……とでも言うか……。謎解き部分だけで言うと、短編くらいのものだと思うし、破綻をしているわけではないのだが、もっと早い段階で「ピアニスト」を確保できたんじゃないの? とか思うところもあるし。
もっとも、下手な人が書けば、「いかにもな水増しだな」と感じるはず。でも、読んでいる最中は、それを感じなかった。これって、著者の力量の証明なのだ、ともいえるのかも。

No.3231

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  •  いつまでもショパン/中山 七里
  • 中山七里さんの「いつまでもショパン」を読み終えました。この作品は、「さよならドビュッシー」から始まる岬洋介を探偵役としたシリーズの第3作です。 今回の舞台は、ポーラン
  • 2013.08.29 (Thu) 18:01 | 日々の記録