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(書評)丸太町ルヴォワール

著者:円居挽

丸太町ルヴォワール (講談社文庫)丸太町ルヴォワール (講談社文庫)
(2012/09/14)
円居 挽

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3年間に祖父殺しをした、という容疑をかけられた坂城論語。しかし、彼は祖父が殺されたそのとき、自分の部屋で「ルージュ」という謎の女性と一緒にいたという。しかし、その痕跡はない。古きしきたりによって行われる「双龍会」により、その真相を問われたとき……
色々とうわさは聞いていた作品なのだけど……なるほど、ね。物語は、3年前、少年・論語が体験した話から始まる。怪我をして、部屋にこもりきり状態になっている論語の前に現れたルージュという女性。その女性は何者なのか? いったい、何の目的が? 論語とルージュのやりとり。会話劇だけなのに、その中にひっくり返しあり何となり……。正直、これを読み終わったとき、短編集なのか、と思ったほどに、ここだけでも面白い。
ところが、本編はそこから開始される。先輩の流から達也は、そんな論語をめぐる擬似裁判・双龍会のことを知らされる。かつての裁判の延長線上にあり、厳密な証拠というよりは、裁判官、傍聴人をいかに納得させるか、に重きが置かれたもの。故に、情報の完全開示ではないし、証拠の捏造も行われる。勿論、捏造が捏造とバレてしまえば、そこで心象は一気に悪くなる。どこでどう使うか? そして、どう丸め込むか、という駆け引きこそがひとつの見所になっていく。しかも、そこに挑む流、達也……という面々の心情とかまで絡み合ってくるから余計に。
これ、読んでいて最初に頭に浮かんだのは『虚構推理 鋼鉄七瀬』(城平京著) こちらも、同じく真相がどうか、ということを目的にするのではなく、いかに「そう思わせるか」を目的とする。そのための場の流れとか、そういうのがこれでもかと描かれている。
そして、終盤に待つひっくり返しの連発。そもそもが、虚実入り混じった論理戦。その上で真相が明かされるのだが、本当にこれが真相なのかどうか……。そのあたりの後味も計算の上、なのだろうな……
独特の雰囲気あふれる一作。なるほど、話題になるのも良くわかった。
しかし……経歴とか、そういうのは違うけど、万城目学氏、森見登美彦氏、そして著者。京都大学出身者の京都愛(?)ってすごいな、と思う今日この頃。

No.3235

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