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(書評)ファンタジスタドール イヴ

著者:野﨑まど

ファンタジスタドール イヴ (ハヤカワ文庫JA)ファンタジスタドール イヴ (ハヤカワ文庫JA)
(2013/09/20)
野崎まど

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「それは、乳房であった」 私は、神戸の、裕福な家庭に生まれた。貿易商を営む父の仕事は順調だったが、母はいなかった。母を蔑ろにしたことを反省したのか、父は、私を色々なところへと連れていってくれた。そして、そんな中、ルーヴル美術館で見た、ミロのヴィーナスに魅入られた……
2013年7月~9月に放映されたアニメ『ファンタジスタドール』の前日譚になる物語。作中に出てきたドールたちが、どういうきっかけで作られるようになったのか、というのが描かれる。ただし、普通の少女(?)であるうずめが、ドールたちと友情を育む、という話とは全くトーンの異なる作品となっているわけだが。
冒頭に書いたように、裕福な父子家庭で育った主人公・太子。幼い頃、ミロのヴィーナスの肉体に魅せられ、小学校ではクラスメイトの少女との友情を育みながらも、その少女の着替えに魅了されていた。そして、それは知られており、別れのとき、それを自ら察知する。その後悔を捨てるべく、勉学に励み、国内最高峰の大学に入り……
とにかく、物語を貫くのは、主人公・太子のフィティシズム。自らは、普通の人間であり、普通の人間が好きだ、という体を装いながらも、どうしても女性との関係の中で一線を越えることが出来ない。そして、その根底にあるのが何なのか、というのを自らが自覚したとき、彼が目指したものは……「理想の女性」の制作……
ある意味、気持ちが悪い、という物語になるかもしれない。全編を通して語られるのは、自らのフェティシズムの告白なのだから……
ただこれがスピンオフ足りえるのも、何となくわかるような気がする。確かに、気持ちが悪いのだけど、でも、主人公の意識と言うのは非常に純粋に理想へと向かうもの。だからこそ、そのフェティシズムとか、そういうものと距離を置き、純粋に1対1の人間として付き合ったときに、理想の友達となる、ということが……
カラーが全く異なるが、しかし、世界観が広がる。そんなスピンオフ作品だと思う。
これ単独で読むと、ちょっと気持ち悪いと思うけど(笑)

No.3291

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