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(書評)夜の経済学

著者:飯田泰之、荻上チキ

夜の経済学夜の経済学
(2013/09/26)
飯田 泰之、荻上 チキ 他

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日本に風俗嬢は何人いるのか? 風俗店はいくらあるのか? 買春する男の特徴とは? 客観的なデータがほとんど存在しないそれらについて、風俗情報サイトなどのデータを調べた書。
巻末、荻上氏が「変わった本」と述べているのだけど、確かに、何と表現すれば良いのだろう? という感じになる。
本書の内容は、1章~3章が、タイトルとも関係する性風俗業界についての考察。風俗情報サイトを通してのデータ。荻上氏が行った個人売春についての調査。そこでしりあった女性に、どういう男性がそのような女性を求めているのか……というような調査を行う。その後4章~6章で、社会全体に関してデータや調査を通して考察し、最終的に再び冒頭のテーマに近づいて、アダルトメディアの変化などについての話となる。
これ、巻末に乗っている著者2人の対談でも書かれているように、それぞれの調査について欠点はある。調査対象が偏っている、とか、そもそもの標本数が少ないとか……。で、それは、私自身も読んでいて感じたことだし、著者らも理解していること。ただ、それでも、全くデータなどがないものについて、欠点があるとしても、一定のデータを示した、というのに価値があるのだ、というのも。そして、そういう中で、多くの似たような調査などを参照するなど、なるべく正しいデータが判明するようにしている、というのはよくわかる。そして、結論だけを書くのではなく、調査からの過程を多く書いている、という意味では、調査方法についての教科書的な部分も持っているとわかる。そういう風に考えていくと……どういう本なんだ? となってしまうのだ。
まぁ、これは、どういうものを期待しているのか? にもよるんだと思う。性風俗業界がどういう状況なのか、みたいなことを知りたい人ならば、それを描いた小ネタ集になるし、調査方法について知りたい人なら……。私はどちらかと言うと、著者2人の書だから、というのもあり、教科書的な本として楽しめた。
……ただね……これを通勤中に読んでいたのだけど、「ピンサロとは何か? イメクラとは?」的な説明とか、「ゴムあり、と、ゴムなしで、相場がどのくらい違うのか?」とか、そんな話題がしばしば出てくるので、何か……電車の中でスポーツ紙の風俗面を読んでいるおっさんって、すげぇなぁ……とか思ったりもした(笑)

No.3306

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  • 2014.04.27 (Sun) 23:07 | 本読みの記録