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(書評)日本人には二種類いる 1960年の断層

著者:岩村暢子

日本人には二種類いる: 1960年の断層 (新潮新書)日本人には二種類いる: 1960年の断層 (新潮新書)
(2013/10/17)
岩村 暢子

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日本人に二種類いる。それは男と女……ではなく、生育環境の激変した1960年以前か以後か、である。1960年以後に生まれた人々は、「個」と「家族」の関係性がまるでそれまでと異なる「新型」の日本人である。そんな生育環境の変化を追った書。
私の感想は、凄く簡単な一言に集約することが出来る。
結局、旧型と新型って、具体的に何がどう、どの程度違うの?
という言葉で。
何で、そのような感想になるのか、というと、この本、「新型」「旧型」がどう違うのかサッパリ綴られていないのだ。ただ、前書きで「全く違う」とデータなどを示すことなく語ったら、あとは「1960年代に、こんな制度がスタートした」「こんな設備が普及した」「こんな商品が現れた」と1960年代に始まった制度やら商品やらを紹介して「こんなに生育環境が変わったんだ」という風に読者を誘導するだけ。その結果、どう違うのか、というのは各章の最後にとってつけたように「私の調査ではこういう傾向が見えた」とこれまた何のデータもなく語られるだけ。で、そのまま最後まで行ってしまう。ぶっちゃけ、これだけだと「本当に変わったんかいな」という感じなのである。読みやすさを優先して、詳細をあえて省略した部分がある、と最後に書かれているのだが、そもそもの結論部分の詳細を省かれても、何だかな、と感じてしまう。
私自身、こういう書籍を色々と読んで、結論部分について「ここがおかしくないか?」と指摘することはしばしばやっている。しかし、本書の場合、それ以前がないので、それ以前の問題だと感じたわけである。
しかも、こう言っては何だけど、本書の内容って、「1960年代からこんなに違う」と言うものを抜き出していくのだが、これって単なる後付解釈でないか? と感じられる。というのは、社会、政治、経済というのは常に変化をしているものである。本書は、1960年代に様々な新しい制度などが始まった、と述べているわけだが、これって多分、1940年代と1950年代、1960年代と1970年代というように変化の区切りを変えて、そこに新しい制度やら何やらを抜き出して行っても同じようなことが出来ると思う。もっと言うなら、去年と今年、でも作ろうと思えば作れるはずだ。
私は著者の過去の書などを読んでいないのだが、本書については「詳細をあえて省略した部分がある」ではなく、単に根拠のない居酒屋談義レベルの論考が載っているだけ、という風に評価せざるを得ない。というか、詳しくは過去の書を、とか書いてあるが、これを読んで過去の書を読みたい、という気持ちになれない。

No.3310

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