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(書評)ドラゴンフライ

著者:河合莞爾

ドラゴンフライ (単行本)ドラゴンフライ (単行本)
(2013/07/31)
河合 莞爾

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多摩川の河川敷で発見された男性の変死体。腹を切り裂かれ、内臓が取り出された上で焼かれるという凄惨なものだった。数少ない手がかりは、現場に残されていたトンボのペンダントヘッド。警視庁捜査一課・鏑木の率いる特別捜査班は、それを元に群馬県へと向かう。そこは、国内有数のトンボの里。そして、遺体はそこでトンビ研究を行っていた公務員・遊介と判明する……
前作もそうなのだけど、まず、物語の組み立て方が巧み。物語は、冒頭に書いた事件を追う鏑木ら警察たち。そして、そこに、被害者・遊介の幼馴染であり、盲目の女性・泉美の視点で綴られる。
事件を追う中で現れる迷宮入りした泉美の両親殺害事件。その事件とも関係がある、と言われる長年行われてきたダム建設に纏わるあれこれ。そして、泉美の元へと掛かってくる「死んだはずの」遊介からの電話……。その中で、アリバイの謎あり、過去の事件の謎あり、ちょっとした暗号あり……と、様々な謎を設けて読者を引き込んでくる。正直なところ、一つ一つの謎については、予想できるものは多いのだけど、様々な謎を提示することで、総合力で引っ張っていく、というのが上手い。
さらに、ここで書いたように、様々な謎が用意されている、というのはそれだけテンポよく進んでいく、ということとも同じ。その辺りも良い。
細かいところを言うと、過去の事件についての捜査があまりにも杜撰すぎないか? とか思わないでもない。また、鏑木班のキャラクターもちょっと極端かな? と思うところもある。
ただ、それでも最後まで判明しなかった犯人の動機部分は鬼気迫るものを感じたし、その後の独白でのむなしさが悲しい余韻も残す。犯人たちの、「言わないが故のすれ違い」とか、ここまで極端に現れなかったとしても、十分に起こりえるものだし。
先に書いたような欠点。そういうのを差し引いても、十分に楽しかった、いう感想になる。面白かった。

No.3315

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