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(書評)リバーサイド・チルドレン

著者:梓崎優

リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)リバーサイド・チルドレン (ミステリ・フロンティア)
(2013/09/11)
梓崎 優

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カンボジアの地を彷徨う日本人の少年・ミサキは、現地のストリート・チルドレンに拾われた。過酷な環境下ではあるが、仲間がいて、信頼関係があって、自由がある。そう思っていた。だが、そんなミサキらのリーダー・ヴェニィが死亡し、その安息は破られた……
『叫びと祈り』から、3年あまりを経過しての新作として届けられた本作。
物語は、冒頭に書いたように、日本人でありながら、カンボジアのストリート・チルドレンとして暮らす少年・ミサキの視点で綴られる。少年たちは、足の不自由なソム兄さんを除き、毎日のようにトラックで捨てられるゴミの山から資源として使えるものを探し、それを売ることで生計を立てる。その一方で、彼らが「黒」と呼ぶ警察官は、彼らを敵視し、殺してもかまわない「虫けら」扱い。また、海外からのボランティアもまた「人間らしい生活を」と働きかけてくる。しかし、それらを跳ね除けて、「自由に」暮らしていた。しかし……となる。
日本とは、そもそもが根本から違う世界、というのは前作と同じなのだな、というのをまず思う。児童虐待の末に死亡した子供、とか、そういうのは報道などで見聞きするわけだけど、でも、日本で生まれた子供、というのは間違いなく「一人の人間」としてみなされる。たとえホームレスであろうと、殺されれば殺人事件として捜査されるし、犯人は罪を問われる。しかし、この世界ではそうではない。
国が目指す「観光立国」のためなら、ストリートチルドレンのような存在は排除してかまわない存在。殺しても罪にならない。そんなとき、わざわざ、そんな彼らを殺害する犯人は? その動機は?
かなりネタバレ気味だけど、このテーマというのは、日本ではない国。もっと言うのならば、人権とか、そういうものが極めて低く扱われる世界でこそ、のものだろう。そして、主人公が日本人の、しかし、現地で暮らすストリートチルドレンという存在にしたのは非常に計算されているな、と感じた。
まぁ、いきなり現れた人間がおいしいところを持っていくとかは、ちょっと……と思うところはあるのだが、テーマ性がしっかりとしていて、読み応え十分な一作であると思う。

No.3317

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  •  ストリートチルドレン、殺人
  • 小説「リバーサイド・チルドレン」を読みました。 著者は 梓崎 優 カンボジアを舞台に、ストリートチルドレンの連続殺人が起こり・・・ うーん、そこまで引き込まれなかったかな ミステリーとしてもそこまでだし ストリートチルドレンの実態などその辺の描写など 読む...
  • 2014.11.07 (Fri) 07:49 | 笑う社会人の生活