(書評)鏡の花

著者:道尾秀介

鏡の花 (集英社文芸単行本)鏡の花 (集英社文芸単行本)
(2013/09/13)
道尾秀介

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6編から成立する連作短編集。なんていうか、これ、コメントがしづらい。
とりあえず、この作品には3組の家族が登場する。そして、それぞれのエピソードで人物そのものは同じなのだが、少しずつ、別の状況を抱えている。即ち、このエピソードでは死んだ人が、別のエピソードでは生きていて、代わりに……という形になっている。
この作品をどういう風に捉えるのか? それは、読者の感性によって違うのだろうと思う。
私は、家族というもののあり方、のようなものなのかな? と思う。
家族というのは、他人ではあるが最も身近な存在。そして、しかし、その関係と言うのは永遠に同じであることはない。出産であれば、ある程度、計算して「産まない」ということも出来るが、死は必ず訪れる。しかし、それは生きている人々に対して様々な心理的な影響を残す。大人なら大人の立場で、子供なら子供の立場で……。それぞれ、欠けている人、生きている人、というのが異なることにより、同じはずの性格、人間性であるにもかかわらず、こうも変わってしまうのか……というのをまず思う。勿論、その中に、さらに欠けるのでは? というような不安感も抱かせる。
特に、これは著者の得意なところなのだろうけど、子供の描き方が強く印象に残る。無邪気であるけれども、儚さを備えた子供たち。そんな彼らにとって、誰かが欠けている、というのはこの上なく大きな影を落とす。大人の側の物語も痛さを感じたりもするのだけど、子供の側だと、より、そんなことを思う。
まぁ、物語の構成であるとかを考えると、ミステリ小説のそれ。ただ、どう考えても形を借りたのみ。カタルシスとか、そういうものがある話ではない。これは、過去の作品とは別の方向へと著者が進んだのだ、と思うしかないと思う。Amazonのレビューとか見ても、評価が割れているのだけど、多分、著者に何を求めているのか、というのの違いなのだろうな。

No.3323

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