fc2ブログ

(書評)マリアビートル

著者:伊坂幸太郎

マリアビートル (角川文庫)マリアビートル (角川文庫)
(2013/09/25)
伊坂 幸太郎

商品詳細を見る


幼い息子の敵討ちを企てるアルコール依存症の殺し屋・木村。木村の敵であり、優等生の仮面をかぶりつつ、悪魔のような心を持つ少年・王子。大物からの依頼を受けながら、いきなりピンチに陥ってしまう二人組みの殺し屋・蜜柑と檸檬。自他共に認める不運な殺し屋・七尾。彼らを乗せた東北新幹線が走り出すとき……
『グラスホッパー』の続編、となる作品。そちらの物語と同じく、殺し屋とかが沢山出てくるし、そこで起きた「令嬢」の解体などが背景に存在している。ただ、この作品単独で読んでも問題はないような気がする。
で、冒頭に書いたように、今回の舞台は疾走する新幹線の中で展開する。そして、それぞれの行動が、それぞれをピンチに陥らせる、という一種のドタバタ劇的な展開が楽しい。いきなり、木村は敵である王子に捕まって、従わざるを得なくなってしまうし、七尾が奪ったトランクは蜜柑と檸檬の運ぶはずのトランク。しかも、その七尾が奪ったトランクは、今度は王子に奪われて……と、それぞれが関連づいてしまう。
普通であれば、冷酷な存在になっていそうな殺し屋たちが、それぞれ、抜けた存在として描かれ、(悪ガキとはいえ)王子が最も冷静沈着というギャップなどがドタバタ劇に拍車をかける。本当、愛される存在の殺し屋と、憎憎しい中学生って、真逆だもの。
その中で、同じ依頼人による行動なのに、蜜柑&檸檬と七尾が対立するとか「?」と思うところもしっかりと判明するか、その辺りの上手さは流石。
ひとつのシチュエーションを広げ、この分量。でも、間延び感などは感じない。一級のエンタメ作品に仕上がっている。

No.3332

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村




スポンサーサイト



COMMENT 1

きりり  2022, 03. 16 [Wed] 12:22

こんにちは

たこやきさん こんにちは〜 久々のアップにコメントとか嬉しすぎます。何年ぶりかで自分のブログに行ったのは(笑)ブラッドピットの映画 BulletTrainの原作がマリアビートルだと知ったので、読んだか確認でしたv-356 読んでましたね2011年に たこやきさんの書評も読ませていただき、もう一度読んでから映画に行きたいと思います。突然のコメント失礼しました!

Edit | Reply |