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(書評)名被害者・一条(仮名)の事件簿

著者:山本弘

名被害者・一条(仮名)の事件簿 (講談社ノベルス)名被害者・一条(仮名)の事件簿 (講談社ノベルス)
(2012/04/05)
山本 弘

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一条(仮名)は、名被害者である。名被害者とは、次々と事件に遭遇する、という才能を持つのだ。しかし、普通は、被害者は1度しか被害者しかなれない。一条が「名被害者」であるのは、次々と彼女を狙う存在に出会いながらも生き残るからである。
そんな一条(仮名)の日常を綴った連作短編集。
著者の名前っていうのは、「と学会」の会長としての活動とか、はたまた、2010年の「非実在青少年規制」への批判とか、そういうので良く目にしていた。勿論、本業がSF作家であることは知っていたのだが……、著者の名前などの親近感とは逆に、著者の作品を読むのは初めてだったんだな、ということに今気付いた。
で、その物語は……物凄く「ゆる~い」。幼い頃から、殺人犯に狙われ続けた一条さん。そのおかげで、ふとしたことから「これは自分を殺そうとしている」ということを理解し、それを見破り回避する。その一方で、ある意味での諦観もあり、「ちゃんとした形での殺し方」ならば受け入れるし、また、服を脱がされるとか、そういうことについての羞恥心もまた麻痺してしまっている。さらに言えば、そのためかは知らないが、トリックとかそういうのには妙に詳しい。その辺りの、ダメダメな犯人と、覚めた一条さんのやりとりを楽しむ作品といえるだろう。しょーもないんだけど、これはこれで楽しい。
と、同時に、先に書いた非実在青少年規制の批判ネタが入っていたり、はたまた、統計を基にしての殺人件数減少とか、そういう解説がしばしば入る。なんか、「と学会」系の話とかに近い印象を受けてしまうのだ。ある意味、説教くさい、と感じる人もいるかもしれない。
そんな中で、最終章に、SF展開を持ってきたのは良かった。これが本業の面目躍如といったところか。これがなかったら、かなり評価がさがっていたんじゃないかと感じる。

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