(書評)インテリぶる推理少女とハメたいせんせい
- 06, 2014 00:31
- や行、ら行、わ行の著者
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著者:米倉あきら
「……せんせいにはわるいうわさがあるのです。もちろんわたしはせんせいを信じています。けれど……」 処女ばかりを狙う強姦魔である「先生」は、文芸部の顧問となった。16人の部員の中で、15人は既に襲い、残りは比良坂れい、ただひとり。しかし、そんなれいは、思わぬ行動で先生を翻弄して……
読む前に、その悪評は聞いていたが、読んでみて「なるほど」と感じた。私の読んだ感想をいうなら、次のような形になるだろうか。
クセは強いが、高い技術を持った料理人が料理をすれば非常に美味しい料理となる高級食材。しかし、それとヘタクソな料理人が手を出して、当然のように不味い料理が出来上がった……というところだろうか。
まず言えるのは、物凄く読みづらい。物語は、強姦魔のである「先生」の一人称で綴られる。しかし、なぜか読者に向かって語りかけてみたり、メタ視点での会話などが始まったりで何なの? というところがある。しかも、主人公は男や処女ではない女性は既に眼中に無いという設定(?)なので固有名詞すら途中から消えてしまう。それだけではない、いきなり野球が始まってみたり、バスケが始まったり見たりと何かよくわからない展開でますます「?」へといざなう。
まあ、それでも3章くらいまではある程度の流れは理解が出来る。舞台である孤島は、主人公の故郷であり、主人公は島を離れる際、れいの姉を犯した。そして、それをれいに目撃された。その後、れいの姉は死亡。自殺という周囲に対し、れいは、恋人(主人公)に殺されたと言っている。そして、れいは、主人公の行為を愛からのものと主張する……。そのような中で、れいは、主人公の行動などを「推理」するのだが、何ともお花畑な推理ばかり……となる。こんな感じだろうか。これだけなら、何と無く楽しめそうな感じがしないでもないのだが……
終章でのやりとりが何が何だかさっぱりわからない領域へ。ただでさえ読みづらい文章が、メタ展開とかを繰り返すことによりサッパリ意味不明の世界へといざなってしまうのだ。アンチミステリとか、そういうのを狙っているのはわかるのだが、そもそも描き分けだとかの技術が弱いところへ、いろんな技法を放り込んだ結果、単純に理解させないような形へと昇華されてしまっている。
個人的に、過去にも「読みづらい文体」と思った小説は多い。ただ、そういう作品でも、とりあえず物語としての形はしっかりしているので理解することは出来た。しかし、本作は……。技巧に走る前に、すべきことがないか? そんなことを感じた。
No.3381

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![]() | インテリぶる推理少女とハメたいせんせい In terrible silly show, Jawed at hermitlike SENSEI (HJ文庫) (2013/02/28) 米倉あきら 商品詳細を見る |
「……せんせいにはわるいうわさがあるのです。もちろんわたしはせんせいを信じています。けれど……」 処女ばかりを狙う強姦魔である「先生」は、文芸部の顧問となった。16人の部員の中で、15人は既に襲い、残りは比良坂れい、ただひとり。しかし、そんなれいは、思わぬ行動で先生を翻弄して……
読む前に、その悪評は聞いていたが、読んでみて「なるほど」と感じた。私の読んだ感想をいうなら、次のような形になるだろうか。
クセは強いが、高い技術を持った料理人が料理をすれば非常に美味しい料理となる高級食材。しかし、それとヘタクソな料理人が手を出して、当然のように不味い料理が出来上がった……というところだろうか。
まず言えるのは、物凄く読みづらい。物語は、強姦魔のである「先生」の一人称で綴られる。しかし、なぜか読者に向かって語りかけてみたり、メタ視点での会話などが始まったりで何なの? というところがある。しかも、主人公は男や処女ではない女性は既に眼中に無いという設定(?)なので固有名詞すら途中から消えてしまう。それだけではない、いきなり野球が始まってみたり、バスケが始まったり見たりと何かよくわからない展開でますます「?」へといざなう。
まあ、それでも3章くらいまではある程度の流れは理解が出来る。舞台である孤島は、主人公の故郷であり、主人公は島を離れる際、れいの姉を犯した。そして、それをれいに目撃された。その後、れいの姉は死亡。自殺という周囲に対し、れいは、恋人(主人公)に殺されたと言っている。そして、れいは、主人公の行為を愛からのものと主張する……。そのような中で、れいは、主人公の行動などを「推理」するのだが、何ともお花畑な推理ばかり……となる。こんな感じだろうか。これだけなら、何と無く楽しめそうな感じがしないでもないのだが……
終章でのやりとりが何が何だかさっぱりわからない領域へ。ただでさえ読みづらい文章が、メタ展開とかを繰り返すことによりサッパリ意味不明の世界へといざなってしまうのだ。アンチミステリとか、そういうのを狙っているのはわかるのだが、そもそも描き分けだとかの技術が弱いところへ、いろんな技法を放り込んだ結果、単純に理解させないような形へと昇華されてしまっている。
個人的に、過去にも「読みづらい文体」と思った小説は多い。ただ、そういう作品でも、とりあえず物語としての形はしっかりしているので理解することは出来た。しかし、本作は……。技巧に走る前に、すべきことがないか? そんなことを感じた。
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