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(書評)亡霊ふたり

著者:詠坂雄二

亡霊ふたり (ミステリ・フロンティア)亡霊ふたり (ミステリ・フロンティア)
(2013/12/11)
詠坂 雄二

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名探偵の資質とは、謎を解き明かす以前に、事件に遭遇すること。そう主張する名探偵志望の少女・若月ローコは日々努力を重ねる。そして、そんなローコに、ボクシング部院である高橋は毎度付き合う。しかし、ローコは知らない。高橋は、殺人者志願であるということを……
一応、出版社などは異なるものの『遠海事件』、『リログラシスタ』辺りと関連性がある。特に、『遠海事件』は物語の前提として存在しているので、読んでいたほうがわかりやすいかもしれない。
で、そんな物語は、どちらかというとボーイミーツガール的なテイストが強いように感じる。先に書いたように、主人公とヒロインが目指すものはある意味で対照的。その中で、ある意味、日常の謎的なものが現れる。本当にちょっとした事件。ちょっとしたトラブル。そこへ関わる中で、自らの才能へと疑問を持っていくローコ。そして、一方で、「ローコを殺す」という目標を立てながらもなかなか実行へと移れない高橋……
ある意味、二人とも「普通の少年・少女」なんだよな。しかし、その中にそうでないものになりたいという想いがあり、同時に、どうしてもそうなれないという焦燥感がある。その挫折へと向かっていく……それが、この作品の醍醐味といえるだろう。謎解きとかよりも、その雰囲気を楽しむことが出来た。
ちなみに、この感想を書く前に、他の方の感想などを見ていたら、主人公がローコを殺そうと思った理由とかがわからず納得いかず、というようなものがいくつかあったのだけど、『遠海事件』もそうなのだけど理由がはっきりとしない、というのがひとつのポイントなんだと思う。高橋が、遠海事件の犯人に惹かれたのはそのためだし、だからこそ、同じようにしたいと願った。しかし、だからこそ脆い……。恨みがあるから、とか、とことん追い詰められたから、というようなものであれば動機が崩れることも無いだろうが、「何と無く」では……。
「何と無く」だからこそ、惹かれ、「何と無く」だから脆い。これも、この作品を彩る部分なのは間違いないだろう。

No.3382

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