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(書評)貴族探偵対女探偵

著者:麻耶雄嵩

貴族探偵対女探偵貴族探偵対女探偵
(2013/10/25)
麻耶 雄嵩

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大学時代、人生を変える「師匠」と出会い探偵への道を志した高徳愛香。その師匠の死後も、師匠の名前もあって何とか探偵業を続けていた。そんなあるとき、遭遇した事件の現場で、「貴族探偵」を名乗る男と出会い……
という連作短編集。全5編を収録。勿論、『貴族探偵』の続編にあたる。
『本格ミステリ・ベスト10』の2014年版で1位かぁ……。なんか、色々とビックリ。
物語の基本的なパターンというのは決まっている。主人公である愛香が出かけた先、なぜかそこには髭面の男(貴族探偵)もいる。そして事件も発生し、探偵である愛香はその推理を担当することに。そのときの状況などから、容疑者たちを絞り込んで行って「犯人は!」と指摘するのだが……というもの。前作を読んでいれば、ある程度、どういう展開になるのかはわかると思う。
でも、それぞれのロジックというのはしっかりとしている。愛香が、その感覚を持って掴んでいったヒントの数々。そのヒントから導き出されるものをまとめっていって……という消去法の推理。その論理性は、先に書いた『本格ミステリ・ベスト10』で選ばれるだけのものがあると思う。
と、同時に、主人公の愛香の危うさ、というのは推理力とかがあるわけでもない私ですら理解できる。例えば、3編目。愛香は、被害者が上下関係に厳しかった、ということをもって絞り込んでいくのだけど、都合の悪いところを無視したり、はたまた、それ以外の可能性に目が行かない、というのは感じる。そして、当然のように、そこからひっくり返しに繋がる。
そのような形で物語が進展した結果の最終編……
ある意味で、愛香が初めて活躍したわけだけど……何よりもその結末がシニカル。貴族探偵と言う存在が、どんな存在なのか? そういうのを考えると、こうしていたのか……と変な感慨が。しかも、主人公である愛香の立場とすれば、この上ない屈辱だろうし。
ある意味、このオチを見越しての、それまでのエピソードを積み重ねてきたのだろう。実際、前作でパターンがわかっていても、最後に凄い脱力感を覚えることが出来た。その意味では、計算の上に計算を重ねた作品……なのかなぁ?(笑)

No.3410

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