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(書評)ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体

著者:原田曜平

ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)ヤンキー経済 消費の主役・新保守層の正体 (幻冬舎新書)
(2014/01/30)
原田 曜平

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「若者がモノを買わない」という時代。唯一、旺盛な消費を示しているのが「ヤンキー」層である。しかし、「ヤンキー」と言っても、かつての暴走族のような不良文化とは全く違う「新ヤンキー」である。その新ヤンキーについて解明した書。
と言う風に自称している本。
なんていうか、凄い本だなぁ。勿論、悪い意味で。色々と思うところがあるのだけど、私が気になった大きなポイントを示してみる。
まず、「言葉の定義が曖昧」という。著者は、新ヤンキーなる存在について語る際に「残存ヤンキー」「マイルドヤンキー」「地元族」なる言葉で称するのだが、それぞれ、何がどう違うのかよくわからない。というか、そもそも著者の言う「ヤンキー」が何なのかもよくわからない。
著者は「残存ヤンキー」は昔ながらのヤンキーで絶滅危惧種だ、と言うのだけど、中身はマイルドでファッションもおとなしくむしろオシャレという。それって「全く違う存在」じゃないの? 「地元族」に至っては「おそらく昔であればヤンキーに入っていた人も多かったと思う」「見た目は全く普通」という意味不明さ。何がどういう基準で決められているのかサッパリわからない。地元、それも、生まれ育った半径数キロ程度の地元ですごす、というのだけど、昔のヤンキーってそんなに地元にこだわっていたの? 実際、著者は矢沢栄吉の『成り上がり』などを上げ、地元を捨てて上京するヤンキーなんていうのを挙げている。すると、そもそも、全く別のものに無理やりに名前をつけているだけ、ということだけがわかる。
この本の凄いところの2番目は、客観的なデータとか、そういうものが一切無いこと。著者はしばしば、「~と答える人が多い」とか、そういう表現をするのだが、しかし、「多い」ってのは具体的にどのくらい? 何人に聞いて、何%がそう答えたの? サッパリわからない。しかも、紹介される若者の言葉というのは、やり取りの中の一言二言を出すだけで、こちらもどういう文脈でのものなのかも含めてよくわからない。
もっとも、それが書かれていたとしても、『最近の若者はなぜダメなのか』によれば、著者の調査方法とは、街中で声をかけ、多くの人に無視される中、インタビューに応じた奇特な人ばかりを集めたものなので、あってもデタラメ調査以上の価値は無いのだが。
3番目は、2番目とも関連するのだが、比較対象である「昔」についても全く調べていないこと。「昔はこうだったはずです」「こうだったのではないでしょうか?」と言う言説はあるのだが、こちらも著者の想像に過ぎない。「こういうはずだ」というものが間違い、なんていうのは沢山ある。著者の勝手に想定した過去が間違いであるってことだってあるのだ。
つまり、読んでいて全く根拠が無いというわけである。その上で、いかにも自分たちが言っていることが、「今の常識」という雰囲気作りに長けている、ということが言える。例えば、著者とマイルドヤンキーとやらのやりとりについて、突如、「バブル世代」なる素性すら一切不明の人間を出してジェネレーションギャップがあった、と言うのを挿入したりする。しかし、バブル世代という人間は何者? その人の言う過去がその当事の大多数である保証はどこにある? けれども、そういうのを入れることで「昔はこうだった」という雰囲気へと誘導している、というわけである。
まさに、何の役にも立たない。それどころか、若者に対する偏見が蔓延してしまう、という意味で問題のある書といえよう。

No.3418

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